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2007年04月12日

顎を、下げましょう。

テーマ: かく語りき

 ぼくも人並に携帯電話を持っているが、「へーえ! 大林さんも携帯持っているんですかあ!?」、とよく人に驚かれるから、余程旧式の人間だと思われているんだろう。
 ぼくの携帯は、妻君(と人並に言ってみたが、お馴染み恭子さんの事であります)が先年、旅先でマイコプラズマなる菌に冒されて臥せった折(「この菌には普通、若い人が冒されるんですが」、とお医者様が語られたと聞いた我が映画スタッフは、「いやそれはゲイコプラズマ菌ではないか」、「いやいや本当はヤリテババアプラズマ菌なのだ」、と俄かに喧しくなる。恭子さんが早く元気になって、「何よ、もう!」、と叱られるのを願っているからだ)、娘から「パパも少しは連絡取れるようにして置いてね」、と手渡されたもの。家を出たり、車や電車の中では自分独りの世界を愉しむぼくだから、普段は携帯電話の必要が無い。
 恭子さんが無事「何よ、もう」、とにこにこご帰還遊ばしてからは、ぼくの携帯電話は我が娘との「ラブマーク」入りの、用件を口実にしたメール交換(娘は忙しいだろうに、よく付き合ってくれてます!)以外には、日一日古里・尾道で『山陽日日新聞』なる、百余年の歴史を持つタブロイド版の地方紙の熱血記者、幾野 伝 君と短信を交わすだけ。ぼくの息子ほどの若い人だが、社用の原稿用紙に向かってエンピツを握り締め、アナログカメラのシャッターをカシャッ、カシャッと切って駆け廻る“温故知新”の新聞記者である。

 ──我が家の前の野川は、今日はお花見の賑わい。まあ大勢の人が、幸せ一杯の笑顔で集まって、犬や子供は水しぶきをあげて、川の中! こんな一日もあるんだなあ。ぼくは珍しく、久びさの窓辺。北海道『朝日新聞』連載の「北海道へ」という原稿を書いています。慣れないブログもね! (架橋問題でゆれている)鞆の町も、早く笑顔の町に戻ればいいですね。広陵(高校野球の廣島県代表校)、見せて貰いました。若い人は美しいですね。 4/1

 ──昨日は久びさ(四年ぶり)に、“野川ひとりマラソン”を再開! じっくり身体を戻そうと思います。今日は、ちょっと花冷え。季節が移る時って、昔からデリケートなものでしたよね。この頃ぼくら人間の方が、粗雑になっているのかも知れない。ブログはまだ、ペースが掴めませんよ(笑)。 4/2

 ──高校野球、決勝戦を見ています。送りバントをきちんとやっていくチーム対どんどん打たせていくチーム。勝つ事も大事だが、勝ち方も大事。チャンスを潰しても思いっきりバットを振らせよう。野球で勝つことを超えることは、生きる上でもっと何か役に立つはずだ。「高校野球って何だ?」、この監督さんはそう考えながら、指揮を執ってらっしゃるのかなあ。などと見ていると興味深い。(結局どんどんのびのびでそのチームが勝ったが、負けた方の生徒諸君も、「夢のような場所で野球が出来るんだから、今日はずっと笑っていよう」、と最後まで良い笑顔。「送りバントをしたいと思った時はありましたか?」、と聞かれた件の監督さんは、小さくにっこり「はい」)。ぼくはこれから歯医者さん。映画二本仕上げて、身体のメンテナンス。春、です(ははあ、ブログもこんな調子で書けば良いのかね?)。 4/3

 相手が新聞記者さんだから、ぼくはメールで「個人記事」を書く。年下の友と意見交換出来るのは、世界がよく見えて有難いものです。  これでもメールによる言葉の交流をテーマにしたフェスティバルに何度も参加させて貰ったし、最近はメールを媒体にした映像作品のフェスティバルもある。ぼくもついこの間、メール用に《転校生ムービーエッセイ》なる五分の作品を作ったばかり。新しいメディアは新しい文化を生んでもいくのだ。

 携帯といえば、一度写真家の荒木経惟さんに、「荒木さんは携帯のカメラで写真など撮られますか?」、とお聞きした事がある。と、我らがアラーキーさんは「あれも、カメラですからねえ」。そしてそれから、一寸嫌なお顔をされて、「でも、携帯で写真撮る時、皆、顎を上げてますねえ!」。  なるほど、流石は一流と言われる表現者は見事な言葉を持ってらっしゃる、とぼくは感銘を受けた事でありました。  人にカメラを向けて、これから写真を撮らせて戴こうと考える人間が、その相手に向かって顎を上げるとは、何とも不躾で、極めて不禮千万。そんな事じゃ、良い写真が撮れる訳がない。  それからぼくは、いま手にしているデジタルカメラで(新式だぞう!)写真を撮る時も、厳かに顎を下げてシャッターを切るよう、心掛けているのであります。

家の前の、野川の桜が咲いた。咲いた、咲いた。恋人や家族や犬たちが集まって来た。

恭子さんが窓辺に置いてくれたにんじん。小さな命を身近に、原稿を書く。

投票に行く。政治は人だから、人を選ぶ。壁の落書きに暫く見惚れる。

成城駅前。五十年前、学生時代に通った道も随分変った。変らぬ桜にカメラを向ける。

野川は今、花吹雪。その中に遅咲きの八重が、一所懸命の苔となって。

NHK「ゆうどきネットワーク」に出演。ゆうどきの立ち話のような、穏やかなひと時がいいなぁ!

事務所にて、《22才の別れ》《転校生》の宣伝原稿のチェック。デスクの永嶋はずき嬢。

連佛美沙子さんと恭子さん。《転校生》ムービーエッセイのために自作のメイキングから画面を引き出している恭子さんの日日。

いつになく(四年ぶりに)ゆっくりした日日の一週間でした。ムサシノの緑が綺麗だア!

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