鎌倉映像フェスティバルに参加。開会前のスタッフのみなさんは大忙し。
平日にもかかわらず、会場にはたくさんのお客さんが。
ビクタービデオフェスティバルの牛頭さんも参加。
主催の川喜多記念映画文化財団の岡田晋吉さん。昔は一緒に映画を作りました。
受賞者のみなさん。今回は鎌倉がテーマの作品を募集。みなさん丁寧に、この地の物語を撮られていた。
岡田さんと江ノ電沿線新聞社の小林真理子さん、鎌倉で映画と共に歩む会の藤本美津子さん。
フェスティバル終了後、ビクターの古い仲間 中村さんと山元さんとで食事。ビクタービデオフェスティバルも今年で30年目を迎える。
事務所にて。千茱萸さんとはずき嬢は今月行われる事務所移転の為の対策会議中。
《恋路物語》という映画を見せて貰った。色いろと嬉しいことがいっぱいある映画なので、その話をします。
製作は「水俣KOIJI Short Story製作委員会」、とあります。「水俣市で撮影した映画というと、大概は水俣病に関する映画と思われますが、そのイメージを変えたいとこの作品が出来ました。水俣の方々が水俣市を水俣病以外で知ってもらいたいという事で、KOIJI Short Story制作委員会を発足し、全国から恋物語を募集しました。345作品の応募があり、グランプリの『おばあちゃんの恋』という物語を原作に撮影しました。映画制作は初めての制作委員会の方々、ボランティアの方々、ほんとんど水俣市民の方々と、苦労はしましたが楽しく作った映画です」、とは、この映画の監督を務めた、菅野宏彰さんのお手紙の中の一文である。
この《恋路物語》のDVDが、菅野さんのお手紙と共に送られて来た。早速見せて戴いて、驚いた。先ずは文中で語られている、その水俣の美しさである。叮嚀に光と影と色彩とに配慮された撮影が、その技術に支えられて見事な情感を醸造している。伝統的な日本映画の中にかつて存在した日本の田舎の町の風景が、思いがけなくもいま現代の一地方の古里の暮しの風景の中に蘇る。
山があり、川があり、海があり、くねくねと曲がった細い道がどこまでも続き、家家が点在する。日が昇り、日が沈み、その中を人びとは一所懸命、笑顔を作って暮らしている。「ああ、こんな町で暮らしたいな」、と心から素直に思われる。そんな美しい日本の古里の町の姿が、作り手の細やかな、そして強い愛情に支えられて、スクリーンに浮び上っている。まことに幸福な映画体験であります。
主人公はこの町で暮らす一人の女子高校生とその家族、そして彼女の学友の男子生徒。この若い二人を演じる谷村美月と松澤傑君がすこぶる良い。幼いながら一所懸命の役者魂が美しい。谷村さんはどこかで見た娘さんだなと思っていたら、去年公開された良心作《酒井家の幸せ》のヒロインだった。彼女に恋して振られる少年を演じた森田直幸君は今年ぼくの《転校生》に出演している。というのがこの《酒井家の幸せ》を撮った呉美保監督は、ぼくが北海道の芦別市で市民の皆さんと続けている『星の降る里・芦別映画学校』の卒業生で、ぼくの事務所で五年映画作りを学んでから監督デビューを果した若い人で、その上に嬉しいご縁だが《恋路物語》の菅野監督は同じ北海道の『ゆうばり国際映画祭』で1907年にぼくが「オフシアター・コンペティション部門」の審査委員長を務めていた時のグランプリ作品《Party》の撮影を担当していた人で、これも内海まゆみさんという若い監督さんによる素晴らしい作品だったが、そんなことが繋がって、今回ぼくの所へDVDが送られて来ることとなったのであります。
谷村美月さんを見ていると、大型の商業映画やテレヴィのトレンディードラマなどとは異なるこういうしっかりと地に足がついた所で頑張っている若い俳優さんの存在がとても頼もしく思えるし、日本映画の真の豊かさはこういう場所から、いま大きく羽ばたき始めているのだと嬉しく感じられる。そしてまたこの映画は見事な“水俣映画”であり、こうして日本の一つの古里から、良質の映画が現実に誕生していくことは映画文化のためにもまことに喜ばしい。
きょう頂戴した重藤哲男さんという方からのお手紙でも、この方は去年の『芦別映画学校』に参加下さった福岡県田川郡を古里とする人だが、その古里でもこのたび、古里出身の民謡歌手赤坂小梅さんの生誕百年を記念して《小梅姐さん》という映画が作られ、いま全国に向けて上映が進められているのだそうだ。臼杵の映画学校のこともご存知で、こういう古里同士の交流がどんどん広がって行く。ぼくの大分映画《22才の別れ》もその仲間の一本なんですよね。
8月28日は『鎌倉映像フェスティバル』の第一回。ここにも沢山の古里作品が集った。77才の高齢の方から中学生まで。オンリーワンの映画群が一同に揃って語り合う。この日の会場では25年昔の尾道《転校生》も上映されました。尚、鎌倉には9月7日も、ジョン・ウェン生誕百年の講演に伺います。
8月30日は、久びさに市川森一さんとお会いしました。次の映画は重松清さんからお預りしている『その日のまえに』。その打合せで、ぼくと恭子さんの古い友、佐々木昭人シェフのフレンチレストラン『クレオール』で、昔懐かしい宮廷料理風のこってりした美味を頂く。
──と書いたところで、寺島咲くんが訪ねて来てくれました。《理由》でデビュー、《転校生》を終えて、ますます美しい娘さんに。良い“女優”に育ってくれているので、安心です。また彼女の映画を考えなくっちゃ。
随分、涼しくなりました。皆さん、お元気ですよね! 『転校生・本』、10月には出版を、と総仕上げ中です。
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