写真コミュニティフォトパスTOP > ナビゲーターズ写真ブログ > 内田 正洋の写真ブログ みどりの海へ 〜The way of Ocean Green〜

『みどりの海へ』 The way of Ocean Green


vol.8 シーカヤックを大学で教える

2009年03月19日 11:00 テーマ [ アウトドア ]

3月も中旬になり、少しずつ暖かくなってきた今日この頃、海でシーカヤックと出会うことも多くなる。特に我が家のある三浦半島の相模湾側では、真冬だろうが海が穏やかな休日には、必ずシーカヤックを見かける。シーカヤックは、もはやこのあたりの風物詩のようである。

先日は、東京湾の入り口、千葉県は南房総にある大房(たいぶさ)岬のあたりを漕いでいた。近くの南無谷海岸でシーカヤックガイドをやる「SALTYS(ソルティーズ)」の山本勉君に呼ばれたからだ。「お客さんを集めるから、一緒に漕ぎましょうゼ」と。

それで20艇近くのカヤック船団で海上散歩をやっていた。すると大房岬を越えたところでシーカヤックに出会った。「ほほーぉ、このあたりでもシーカヤックが増えてるんだな」と思ったら、近くの館山でガイドをやる藤田健一郎君だった。彼もお客さんを連れての海上散歩中。

【南房総、大房岬】
東京湾の入り口あたりまで来ると、まだ美しい海が残っている。沖合は世界でもっとも海上交通量が多い浦賀水道なのに、沿岸の漁業は衰退している。沿岸の海中林もかなり減少している感じだった。海洋緑化は急務なのである。

昨年から僕は東京海洋大学でシーカヤックを教えている。非常勤講師ってやつだ。その授業は、夏休みの5日間で行なう集中講座なのだが、大房岬近くにある大学の施設に宿泊しながら行われている。水圏リテラシー学という授業の実習だ。2回に分け40名ほどの学生が授業を受けている。

水圏とは水界ともいうが、地球の表面で水で占められた部分のこと。まぁ主に海のことだ。リテラシーってのは知識ってこと。海の知識を持っていても、それを人に伝えることは難しい。だから、シーカヤックという道具を使えば、すんなりと人に伝えられるんじゃないか。そんな可能性を模索するために、シーカヤックの授業が始まった。学生は、この授業を受けてレポートを提出すれば単位だってもらえる。

海洋大は、かつての東京水産大学と東京商船大学が統合されて開学された。2004年から学生を受け入れ始めたので、まだ5年目の新しい大学でもある。で、そのシーカヤック授業を手伝ってくれるのが、山本君と藤田君だ。彼らのような地元のシーカヤックガイドが、大学のシーカヤック授業の先生をやる時代なのである。彼らがいるから、僕も安心して授業ができる。

【海洋大のシーカヤック講師陣】
左端が藤田君でその隣が山本君。真ん中が辻井君でパタゴニアというアウトドアメーカーの日本支社の副支社長でソルティーズのガイドでもある。その右の赤塚君は、海洋大のOBでカヤックガイドもやっている。右端は私。この5人が昨年2回目の講師陣でした。

北米でアウトドアの文化が生まれ、その流れで海のカヤックが甦り、アウトドアの主流のひとつになってきたけど、まさか大学の授業になるなんてのは、20年前には想像さえできなかった。でもそれが今や現実である。

授業では、アウトドアの考え方やシーカヤックの歴史や概念、社会的な役割についての講義もやっている。シーカヤックには学術的なアプローチもできるからだ。自分で書くのもなんだが、これが実に面白い。この授業をやることになって、僕はシーカヤックの教科書が必要になったと感じたので、今「シーカヤック教書」なる本を書いている。今年からは、それを教科書にして授業を行なうつもりである。

【東京海洋大学のシーカヤック】
シーカヤックの授業を行なうにあたり、大学は20艇以上のシーカヤックを揃えた。装備の充実が教育の水準も上げる。学生たちは、自分のカヤックという意識で大切に扱うようになる。5日間の授業だけど、それでも日数は足りない。来年度は、もっと充実させたいと、僕は思っている。

(つづく)

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