写真コミュニティフォトパスTOP > ナビゲーターズ写真ブログ > 内田 正洋の写真ブログ みどりの海へ 〜The way of Ocean Green〜

『みどりの海へ』 The way of Ocean Green


vol.12 海森を再生するのだ

2009年04月17日 11:00 テーマ [ アウトドア ]

さて、今回でこのブログ連載も最終回となった。3ヶ月なんてあっという間に過ぎていくけど、この3ヶ月で僕の人生は大きく変わった。何しろ社団法人の海洋緑化協会を創設したからだ。その人生の変わり目をリアルタイムで連載できたことに、深く感謝している。

この短い連載のテーマは、アウトドアとシーカヤックと海、そして海森(うみもり)だった。海中林や藻場と呼ばれる海森がいかに大切か。海に目を向けない多くの日本の人にとって、少しでも気付きになってもらえたら嬉しい。アウトドアの世界、特に海の側から考えたことを徒然なるままに書いてきたけど、この行動や思考の流れは、多分一生続いていく。

アウトドアとは、文明を外からの視点で見る行為であり、時間の経過や歴史までをも外からの視点でとらえる行為だと僕は思っている。それには文明に縛られない生き方や、時間に縛られない生き方が求められる。でも、今の多くの人にとって、それは非常に難しい生き方だ。ところがアウトドアのフィールド、つまりは大自然という曠野(こうや)の世界は、文明の外にあるし、人が決めた時間の流れとは別次元の時の流れが存在している。

ところが、今の文明は曠野をどんどん狭めていく。人の活動が曠野を驚くほど変化させている。でもそれに気付かない。日本の場合、陸には曠野がないし、陸の変化は見えるから分かりやすい。でも海中の変化は、海に行かない人がほとんどだから知らない。日本の海は、今激変している。海が砂漠化している。生命のいない海へと変化しつつある。

【スカウミ(横須賀の海)にて】
つい先日、春の大潮で引き潮になった我が家の下の海。突然岩が白くなっていた。石灰藻と呼ばれる藻類が付着しているようだ。これが磯焼けの原因になるという。ついに我が家の下の海でも砂漠化が始まったのか。

シーカヤックの旅というアウトドア活動によって、僕には海の生態系、つまりエコロジカル・システムってやつがかなり見えてきた。旅をしている時は、自分も海の生態系の中に入っていると思えるからだ。シーカヤックという小舟は、人を海の生態系の一部にしてくれる素晴らしい道具だ。

近年、広告などでエコという言葉が百花繚乱である。エコがエコロジーなら美しいのだけど、よくよく読んでみると、エコロジーじゃなくエコノミーであることが多い。生態学じゃなく経済である。もちろん、節約するという意味で経済的だってのは結構なことだけど、エコロジーとエコノミーをごちゃまぜにしているのが、どうも気になる。

広告活動は、ほとんど営利企業が行なっているから、エコノミーになっちゃうのは仕方ないけど、その広告に影響された人たちがエコノミーとエコロジーをごちゃまぜにしてしまうのが、ちょいと問題であると思うのだ。

【神津島】
伊豆諸島の神津島。黒曜石が露出した岩盤の下をシーカヤックで漕ぐ。この黒曜石を求め3万年前の日本列島人は、カヌーを使って神津島まで来ていた。黒曜石は、縄文時代のナイフ。このナイフの原石によって交易という旅が始まった。3万年後の今、僕も同じように旅している。

本来のエコというか、エコの真意は、人間も地球の生態系の一部であるという考え方だと思う。アウトドアの思想は、まさにそこにある。人間の活動が生態系を崩しているのは明白だけど、その破壊速度を少しでも緩めたり、破壊じゃなく生態系の再生へと経済を持っていくのがアウトドアの考え方だと思う。アウトドアは、エコロジカル・システム再生へのエコノミーだということかな。

さて、最終回にあたり、僕がこれからの人生で目指すことを書いて終わりにしよう。

今の日本には2000平方キロほどの海森があるらしい。それが以前よりどれだけ減ったのかは、正確には以前のデータがないので分からない。でも、例えば伊勢湾だと昭和30年から50年ほどで海森の面積は100分の1になってしまった。

もちろん、それは限定的な海の話だけど、もしその割合が日本全体だったら、である。50年前には20万平方キロの海森が日本沿岸にあり、それが 2000平方キロまでに激減したことになるじゃん。日本が現在排出している温室効果ガスの二酸化炭素換算量は13億トンほどらしいのだが、海森がそれを固定化するには、日本の陸地面積の1割程度、つまり4万平方キロほどがあればいいと言われる。

なので、僕が目指すのは、そんな面積にまで日本の海森を回復させるための、あらゆる活動をすること、である。もうすぐ海洋緑化協会のホームページが立ち上がる。今度はそこでお会いしましょう。

【伊豆半島白浜の近く】
シーカヤックを始めて22年。いまだにシーカヤックの旅には飽きない。それどころか、益々旅への欲求が強くなる。海森を回復させるために、僕はこれからもシーカヤックで旅を続けるのだろう。それが子供たちに引き継ぐ文化だと信じて。
(おわり)

コメント(2)

アウトドアを、文明や歴史を外からの視点で見る行為だと、なんか、月から地球を見ている視線でありながら、カヤックというしっかりと地に足がついている根の張り方にも関心することしきりでした。海について楽しく知ることができました。

3年前、夫婦で四国へキャンピングカーの旅をした時にシーカヤックを体験しました。海の美しさに感動しました。その頃はカメラの趣味がなく、残念なことをしました。再度、カメラを伴にチャレンジしたいと思います。

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