



ドイツ北部のキールを拠点に活動するディーター・ベトゥケ(Dieter Bethke)は、最も将来を有望視されている写真家の一人です。
ディーターは、コンピューターと情報科学を学びながら、出版・メディア産業の主要企業で働いていました。デジタルワークフロー、カラーマネージメントとデジタルレイアウトを専門としていたため、製品としての写真と最初に接する機会を得たのはこの時期でした。
初のデジタルカメラシステムが世に出たとき、ディーターは自分が写真に強い情熱を持っていることに気付き、ザールブリュックの写真家であり友人のフロリアン・ブルナーとラルフ・グレミンガーの協力で、基本的な写真術を修得することができました。昼はワークフロー専門家として働きながら、彼は独学のプロとして写真術を磨き続け、長時間露出や夜間照明などの実験を重ねるようになりました。そうした作業の中でディーターが100%デジタルのオリンパスE-システムを頼りにすることも少なくありません。
ディーターが好む被写体として、産業建築、海の雰囲気、夜間照明のマジックがあります。彼は身の回りのことになると熱心で意識的な観察者となり、気付くと都会の風景を凝視していることがよくあります。そしてパノラマ撮影や夜間撮影におけるハイダイナミックレンジ(HDR)写真の可能性を早くから発見し、その更なる発展や、ドイツ語地域の写真業界全体における普及のために熱心な努力を重ねてきました。
ディーターは被写体をユニークでエキサイティングな切り口で捉え、常に革新的な技術を試しながら撮影しています。彼の写真を鑑賞すると、ユニークな感覚を味わえます。球形パノラマショットの処理には一貫してハイダイナミックレンジ(HDR)技術を採用していることが、綿密で並外れた写真の創造に対する彼の揺るぎない傾倒を証明していると言えるでしょう。「E-510のように新しいカメラで仕事をするチャンス、特にそのとてつもない機能をテストできることは、私にとってとても面白いものでした」と彼は語っています。
技術的な経験やノウハウの交流は、ディーターにとってとても重要なことです。そしてこれが、DPunkt出版社、Rocky Nook社、HDRSoft社、Olympus Imaging社、Kodak Nexpress社など、映像の分野の専門的知識を備えた国際企業や写真家とコラボレートをする根本的な理由となっています。こうした交流の成果は、多くのプロジェクトで目にすることができます。クリスチャン・ブロックの『HDRI Handbook』への協力、そして彼自身によるハイダイナミックレンジ(HDR)写真のトレーニングDVDの発表は、発見の過程、そして自分の発見を他の人にも簡単に理解できるような形で表すこと、という彼の二大情熱を組み合わせたもです。彼はコンサルタントとしてまた教育者として、セミナーや専門雑誌・専門書への寄稿で、自身の個人的な経験を伝えています。「知識は、共有することによってのみ成長する貴重なものです。素晴らしいことだと思いませんか?私は自分にインスピレーションを与えてくれた人々から得た知識や見解を、できる限り共有したいんです。自らの言葉と行動を通じて共有したいんです」。こうしたモチベーションは彼の映像においても、記録と創造性とが融合した形で表現されています。
キール、ドイツ
はじめに
近年、私は幸運にも、毎年多くの人が休暇でくつろぎにやって来るような地域に住んでいます。人は時に、自宅の家から一歩踏み出して地元の世界をよく見てみることよりも、遠くの国に旅行して未知の文化について学ぶことに性急になっています。実に興味深い現象です。つい最近まで私は『海にはさまれた土地』の豊かな多様性を、真に探求したことはありませんでした。遠くばかりを見て足元を見ていなかったのです。そのためオリンパスから、シュレスヴィッヒ・ホルシュタイン州(Shleswig-Holstein)で写真家のダイアリーを作成する、という提案を聞いた時にはすぐにそのアイデアに夢中になりました。これは私にとって、一つのプロジェクトで三つの重要な目的を達成できる、特別な機会を与えてくれるものでした。その目的とは、私が故郷として選んだ地域についての理解をより深めること、この美しい土地のさまざまな表情を全世界の人々と共有すること、そしてオリンパスのEシステムに新たに加わったE-510で仕事をする機会を得ること、です。私はもちろんすぐに快諾し、旅に出発しました。
シュレスヴィッヒ・ホルシュタイン州の沿岸は多様性に溢れています。セーリング仲間がリラックスするのに絶好の場所であり、釣りや物資の海上輸送にも利用されています。後者には大きな経済的意義もあります。この地域の水辺は多くのスポーツイベントの舞台ともなっており、その中でもキールウィーク(Kieler Woche)は最大規模で、シュレスヴィッヒ・ホルシュタイン州の首都であるキールで毎年開催されています。さまざまな人気プログラムを擁するキールウィークは、この地域の真のハイライトです。
『海にはさまれた土地』の旅を始めるのに、水上スポーツイベントよりもふさわしいものがあるでしょうか。水はこの旅にとって特別な要素になりました。それは飲み物や輸送手段としてだけでなく、頻繁に降ったにわか雨や雷雨においてでもです。「天気が気に入らなければ、少しだけ待てばいい」。シュレスヴィッヒ・ホルシュタイン州に来た私に、友人が言ったせりふです。彼の言ったとおりでした。天気は、晴れた青空から雷雨に、そして再び晴天に、と数分のうちに変化します。素晴らしい薄明かりと惨めな灰色の空、興奮と同じくらいの欲求不満。それでも天気は、色と光とが非凡な競演を見せる独特の瞬間と、素晴らしい写真撮影の機会を与えてくれました。私はいつも土地と人々に魅了されます。ですから、今回の旅でこの土地、人々、日々の生活や文化を観察することができ、新たな発見をする機会を得られたことを、うれしく思います。
私が今回E-510で撮影したショットの中には、その特別な印象と見晴らしを伝えるため、パノラマ写真やハイダイナミックレンジ(HDR)写真も含まれています。