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Vol.21:似て非なるもの(最終回)

拝啓 設計者より
Vol.21 似て非なるもの(最終回)
余暇のテーマ
撮影画面

「ペンめいさく展」などの写真の出来映えを見て、ハーフサイズがこんなに良く写るのなら一眼レフも作って欲しい。レンズを交換したり、クローズアップや超望遠撮影もしたいと、ハーフサイズ一眼レフへの待望論が高まってきた。

大きくて重い35mm一眼レフもハーフサイズになれば、何となく、そのまま小型になるのではないかと思うからであろう。

一眼レフの企画を持ち出した桜井常務もそんなイメージからの発言だった。

実は、それより遙か前のことだが「ペンEE」の設計に着手したばかりの頃、私自身も軽い気持ちから、余暇に、ハーフサイズ一眼レフの構想に取り組んだことがあった。

進めてみると、予想に反してそう簡単に解決できるような課題ではないことが分かった。これがもし毎日の仕事なら日程的にも技術的にも追い込まれていたであろうが、暇つぶしに考えていたテーマなので、これといった制約もなくてよかった。それほどの難題が次々と待ち構え行く手を阻んでいた。

横長画面と縦長画面の違い

先ずは35mm一眼レフの構造を紐解きながらハーフサイズと比較してみた。

一眼レフ用ファインダーの特徴であるクイックリターン・ミラーは上下に回転する。回転半径を短くするため、画面の短辺24mm側を上に跳ね上げて、ミラーの先端がレンズの後面にぶつかるのを避けている。

35mm判の画面の大きさは36×24mm。その長辺を半分にして小さくしたハーフサイズは18×24mmとなる。不思議なことに、いずれのサイズでもミラーの回転半径は24mm側になるという構造であった。

35mm判では短辺だった24mm側もハーフサイズにとっては長辺となり、長いミラーを跳ね上げる事となる。これではミラーが回転すると長すぎてレンズの後端面にぶつかる。

話がややこしくなったが、従来の35mm判では撮影画面が横に長く、それを半分に切ったハーフサイズは縦長画面になることが原因だと気付いた。

何か対策を考えなければハーフサイズの一眼レフは作れない。ここが思案のしどころと、そのころは余暇の利用できる帰宅が楽しみであった。

ミラーを短くする
35mm一眼レフのミラーの回転

ハーフサイズ一眼レフの回転ミラー

一眼レフを作る場合レンズにぶつからないようにミラーを短くしなければならない。もし回転半径を短くするために、ハーフサイズの短辺18mm側を回転させるとなれば、縦長画面なのでミラーは横方向つまり水平に回転させなければならない。そんな一眼レフは見たことが無いし問題点も多発する。

35mm一眼レフでは、撮影レンズを通ったファインダー光が上下に回転するミラーでカメラ上部に反射され、ペンタプリズムを介し最短距離で目に届いていた。

もしミラーの横方向回転方式を採用するとなると一眼レフの象徴ともなっている屋根型のペンタプリズムは使えなくなる。

しかも厄介なことに横に回転するミラーだとファインダー光も横に反射される。その光を延々とカメラ上部の接眼レンズまで届かせなければならない。

はたしてペンタプリズムに替わるプリズムがあるのか。横に反射したファインダー光をカメラ上部の接眼レンズまで届かせる光路構成があるのかと試行錯誤したが、やっと辿りついたのがポロプリズム・システムであった。

これでミラーを横に跳ね上げても一眼レフ用ファインダーを何とか作れるところまで来た。しかし、ピントグラスから接眼レンズまでの距離が長くなり、ファインダー倍率を大きくするのに苦労するであろう。

ハーフサイズ一眼レフを作り上げるにはまだまだ課題は山積していて、それを一つずつ解決していかなければならない。

35mm一眼レフのメカニズムが活用できると思って取り組んだものの、似て非なるもので、原理的にそう簡単にハーフサイズ一眼レフは作れないということだけが重くのしかかった。