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第5回 オリンパスプラザ FOCUS展

オリンパスプラザ FOCUS展とは

オリンパスのカメラ・レンズを使って表現力、創造性に富んだ作品を生み出すフォトグラファーに、発表の場を提供する写真展です。オリンパスプロ会員(OGPS会員)からの推薦により、年間2名をオリンパスプロサロンにて選出いたします。

第5回 FOCUS展 サンペトラ・オルテア写真展「Urban Plantscapes」

主役を決めて、背景は最小限に。
レンズの前に3枚の鏡で作ったプリズムをつける。
その時、その場所の光をプリズムで集めて、背景に重ねる。
プリズムを回すと日常の中の非日常が浮かび上がり、主役と脇役の様々な物語が写し出される。

スカイツリー、高幡不動尊金剛寺、ドコモタワー、国会議事堂。
東京の歴史、文化、あるいは技術を象徴している名所や建築的ランドマークは主役として素晴らしい。
しかし、その多くはシルエットでもすぐに認識できる「名脇役」にもなる。
一方、大都会の中では主役になりにくい花、草、木。
枝の先端で蝶の形にのびる桜の葉。
脳の血管がつくる大脳動脈輪の形にそっくりの木。
季節の花、木とランドマークとの共演を切り取ることで都会の四季を表現することに挑戦した。

写真展情報

  • 会場:オリンパスプラザ東京 クリエイティブウォール
    開催日時:2020年1月6日(月)~ 1月15日(水)
    11:00 - 19:00

出展者インタビュー

1.写真を始めたきっかけと、今に至るまでの経緯を教えてください。
プライベートでカメラを初めて購入したのは、2014年にカナダへ出張したとき。ナイアガラの滝を撮影したいと思い、防滴性能が備わったオリンパスのOM-D E-M5を手に入れました。アートフィルターの効果が楽しく、色々と試していた記憶があります。
そのうち、元々好きだった花の中でも蝋梅やサギソウといった、日本固有の花を撮影したいと思うようになりました。オリンパスデジタルカレッジ(現オリンパスカレッジ)のことを知り、初めて参加したときに講師の片岡正一郎先生や「花コミュ」の仲間と出会ったことから、一気に写真にのめり込んでいきました。あるとき写真の講評会で、作品を和紙にプリントし持参している方がいて、とても素敵で感動しました。写真をアートとして仕上げることへの関心も高まったように思います。譲っていただいたプリント作品は、今でも大切に持っています。
その後、片岡先生が立ち上げた写真コミュニティ「EXA-photo」の撮影会に参加し、初めてモノクロ写真にも挑戦しました。
ただ撮るだけでは良いものが撮れないと考えた結果、仲間との間で流行っていた万華鏡写真(正三角形状に配置したミラーの入った筒を、レンズの先にはめて撮影する手法)をアレンジすることを思いつきました。建築など人工物を万華鏡の反射で捉えると、幾何学的な面白い仕上がりになるのではと考えたのです。
そのとき使っていたレンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II(※35mm判換算 24-300mm)なのですが、広角側で使用すると万華鏡の効果を生むミラーの反射が、望遠側で撮るとボケのようになります。万華鏡の筒をM.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8にはめてみたところ、ボケ味と描写力がイメージにぴったりフィットしたので、今はこのレンズとPEN-Fの組み合わせがメインになっています。
試行錯誤も重ねてきました。当初、筒は固定して使用していましたが、シリコンのレンズキャップをカットしてはめ込む方式によってジャバラのようにチルト・シフトが行えるようになり、筒の可動範囲が大きくなったことでボケ方のバリエーションも増えました。
絵づくりについてはPEN-Fの「モノクロプロファイルコントロール」という機能を使い、カラーフィルター効果や粒状感を調整しています。

2.作品を撮るとき、何を大切にしていますか?
情報が多い時代の中で、最低限の情報だけで構成する「引き算」を常に心がけています。
私の作品は主に東京の建物と植物を捉えたものですが、できるだけシンプルに構成し、更にボケを使って極力余計なものを消し、現実味をもなくすようにします。植物の曲線と建物の直線が描くコントラストや調和だけを切り取るようなイメージです。
撮影の際には、逆光や斜光を取り入れて撮るのが好きです。気になるものがあったらカメラを向け、角度を変えながら何パターンか撮り、その中で最も美しいものを選ぶのですが、脳外科医という職業のせいか、無意識のうちに人体的な形状のものに惹かれています。例えば木の枝や葉脈は血管のように見えて、カメラをふと向けることが多いです。今回の展示では、脳の血管にそっくりな形をした木の枝の作品を展示しました(掲載画像 下段右)。これは葉が全て枯れ落ちた冬だからこそ出会えた被写体なので、季節ごとにこういったものを発見する楽しみも大切にしたいです。

3.「Urban Plantscapes」というタイトルに込められた想い、今回の展示のコンセプトは?
都会の中でも、先ほど述べた植物と建物が生み出す調和、コントラストによる“心の落ち着く風景”が見つけられることを示したいと考えました。
日本の中で“穏やかさ”のある街というと、東京よりも京都を連想する方のほうが多いと思います。しかし、見方を変えれば東京の日常の中でも、枯山水のような風景を見つけることができます。
東京の下町に長年住んでいますが、昔ながらの情緒的な街並み、寺社を残しつつもメトロポリス(大都市)らしい利便性や多文化を備えた東京は、私にとって非常に魅力的な街です。今回の展示作品はすべて東京で撮影し、スカイツリーや国会議事堂、コクーンタワーといったランドマークを取り入れています。
展示手法についても、“落ち着き”を意識しました。ハイキーな作品の周りに、更に真っ白な余白を設け、木製パネルで仕上げることで、作品が白い壁に溶け込むような効果を狙いました。プリントは全て自分で行い、グラデーションを見ながら仕上げていきました。
またレイアウトは、“心の落ち着く風景”という主題に加え、3面の展示スペースごとに副題を設けて行いました。会場に入ってすぐ目に入る正面は“自然物のディテールの美しさ”、右面は“自然と建築との対比”。左面は水墨画、桜といった自分にとっての“和の印象”をテーマとしました。

4.展示を経て感じたことはありますか?
クリエイティブウォールの白い空間に並んだ作品を見ていると、窓から数々の景色を覗いているような錯覚を覚えました。心が落ち着き、いつまでもここに居たいと思ってもらえるような空間づくりを目指していましたが、来場いただいた方にも同じ感想を持っていただけたようです。なかなか“心の落ち着くもの”を見つけづらい世の中ですが、皆さんと作品でそういった感覚が共有できたことを嬉しく思っています。

5.今後取り組みたいテーマなどはありますか?
二つあるのですが、一つは日本の城です。城は日本の歴史を象徴するものです。表現の切り口をこれまでの季節から時代・時間という、よりスケールの大きなものに広げていければと思っています。空が大きく抜けて撮れる、お勧めの城があれば是非教えてください。
もう一つは、現在の手法による人物ポートレート。私の撮り方に興味を持ってくださった方にデモンストレーションをしている中で、ミラー反射のボケの中に人物が写り込む様子がとても魅力的でした。光の柔らかさが、人間の内面を映し出すかのようで。是非これから、「人」もシリーズとして撮っていきたいです。

出展者プロファイル

Sampetrean Oltea(サンペトラ・オルテア) 1976年にヨーロッパで生まれ、1995年に来日。2002年から医療に従事し、現在は脳の科学を探求している。2014年にオリンパスのカメラと出会い、生命の輝きと自然の造形美を探しつづけている。 【受賞歴】
2015-2016年 ピクトリコフォトコンテスト自然部門 入選
2018-2019年 ピクトリコフォトコンテスト自由部門 モノクロ賞入賞
【個展】
2019年9月「Tokyo Prism World, Tokonoma View」Jam Photo Gallery
Instagram:@oltea_mono
Website:https://www.oltea-photo.com

推薦者コメント

デジタル時代になり、世界はもう撮り尽くされた、と言われて久しい。しかし、人の新しい視覚への欲望は果てしがないようだ。
オリンパスの写真投稿サイト「花コミュ」時代から、沢山の方と発表の場を共有してきたが、この作家の独創的な表現は試行錯誤しながらも一種独特の光を放っていた。それがここにきて一点に収束し始め、作品としての一貫性と普遍性を持ち始めている。ストレートフォトでありながら、光を上手く操ることで、一種ファンタジーなモノクロ作品に仕上げてある。こんな新しい視覚を目にすると、自分にもまだやれることがあるのでは、との錯覚に陥る。困ったもんである。
写真家 片岡 正一郎

片岡 正一郎(かたおか しょういちろう) 1952年愛媛県生まれ 日本大学芸術学部写真学科卒業
日本写真家協会(JPS)会員
日本自然科学写真協会(SSP)会員
オリンパスデジタルカレッジ講師
写真のための総合空間 PHOTO BASE「Space 66」主催
写真投稿サイト「EXA-photo.com」主催

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