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第9回 オリンパスプラザ FOCUS展

オリンパスプラザ FOCUS展とは

オリンパスのカメラ・レンズを使って表現力、創造性に富んだ作品を生み出すフォトグラファーに、発表の場を提供する写真展です。オリンパスプロ会員(OGPS会員)からの推薦により、年間2名をオリンパスプロサロンにて選出いたします。

第9回 FOCUS展 海野和男プロデュース「堤 悠貴・宮田 紀英・高橋 怜央 ネイチャーフォト3人展」

昆虫写真家 海野和男氏の推薦で、今回は3名の作品展示となります。
3名とも小中学生の頃より海野和男氏のホームページである
「小諸日記」に影響を受け、ネイチャーフォトの世界へと進みました。
3人の若き写真家のそれぞれの作品をお楽しみください。

写真展情報

  • 会場:オリンパスプラザ東京 クリエイティブウォール
    開催日時:2021年10月28日(木)~11月8日(月)
    10:00 - 18:00

出展者インタビュー

高橋 怜央

1.写真を始めたきっかけと、昆虫撮影を行うようになった経緯を教えてください。
 昆虫がとても好きでしたが、それを身の回りの人に伝える機会がありませんでした。小学生の時に虫を通じてたくさん仲良くなれる友達がいましたが、それもどんどん少なくなり、あまり表立って言わないようにしていました。高校生になる前くらいにに海野先生の写真や図鑑などを見て、こういう仕事というものがあることを知り、「伝える」ということはいいものだと思い、高校生から写真部に入りました。写真部では人も含めいろいろ撮影しましたが、自分の好きなものを撮りたいと思いました。OLYMPUSのE-620から入り、その後はミラーレスE-M1やE-M5を使っていました。

2.撮影時に心がけていること、または海野先生との交流の中で影響を受けたエピソードがあれば教えてください。
 生き物の持つ生きる力というものを表現したいなと思っています。もともと北海道で育ったので、ちょっと足を延ばせば自然豊かな環境があり、野幌森林公園が近くだったので主にそこでいろいろな写真を撮影していました。
 海野先生との出会いは、それまで図鑑や雑誌を読んで、ずっと勝手に片思いしておりましたが、2018年の6月に北海道博物館で生き物写真リトルリーグの紹介とトークショーがあり、そこでこれまで大切にしていた「蝶はなぜ飛ぶか」の本にサインをしていただいたのが最初です。
 今回はSSPの関連で7月に海野先生の動画撮影をお手伝いさせていただく機会があり、アトリエにお邪魔し、バタフライガーデンを見せていただき、その際に今回のお話をいただきました。

3.今回の展示のコンセプトは?
 内在的昆虫写真というのは、動物を撮るときに僕が意識して撮っている「生きる力」を昆虫で表現しようというのがコンセプトです。蝶は成虫になってから3週間くらいしか生きられない。そういう意味からも昆虫は僕にとって生き物の力、切なさをとても感じさせてくれる一番の被写体だと思っています。なので今回昆虫を通して「生命力」を「内在する」写真というものをテーマに4枚の写真を選びました。

4.展示を通じて感じたこと、これからの撮影について考えることはありますか。
 これまで動物の写真展は展示経験がありましたが、昆虫で写真展をやるのは初めてでした。昆虫だけの写真展をやって面白いなと思いましたので、今後、昆虫だけでやってみたいなと思いました。今後も様々な生命について撮影していきたいです。

宮田 紀英

1.写真を始めたきっかけと、昆虫撮影を行うようになった経緯を教えてください。
 私は写真より先に昆虫に興味を持ち始めました。もともと虫が苦手だったのですが、虫採りの授業で友達が平気で触っているのを見て負けたくないと思い触り始めました。そうこうしているうちに興味が湧いてきて昆虫図鑑を見るようになり、そこで「蛾」の魅力に取り憑かれました。最初は小さい虫採り網を振って採集、観察をしていましたが、放してしまうと後で見返せないし、標本では生きているときの表情が見えてこないのが悩みでした。そこで写真に残していこうと思ったのが昆虫写真撮影のきっかけです(当時小学2年生)。最初は親の数十万画素のコンパクトデジカメを使い、後に親から中古の一眼レフを買ってもらって本格的に撮影を始めました。

2.撮影時に心がけていること、または海野先生との交流の中で影響を受けたエピソードがあれば教えてください。
 生き物に目を向けることは当然ですが、その生息する環境や生きている雰囲気がどうであるのかを写真に落とし込みたいので、背景に気を遣っています。偶然のシャッターチャンスを逃さないように、その場その場で反射的に立ち回るようにしています。海野先生は以前、蝶の気持ちになって撮影するのが大切だとおっしゃっていたので座右の銘にしています。海野先生との交流で印象に残っているのは、私が小学3年生の頃、イベントで初めて先生にお会いしたときのことです。飛んでいる蝶の撮り方を訊ねたところ、子供だからと適当にあしらうのでなく、真剣に教えていただきました。その後も何度か一緒に撮影しに行く機会があったのですが、昆虫を追いかけているときの先生はまさに昆虫少年のようで、その姿にも惹かれました。自分もいつまでも少年心を忘れてはいけないと思いました。

3.今回の展示のコンセプトは?
 タイトルは「自然と人為の間(あわい)で」です。このタイトルには二つの意味がこめられています。私のフィールドには人の手が入らなくなった場所や、過疎化している場所が多いのですが、このような環境で蝶がどんどん減っているということを実際に体感しています。つまり、日本の自然環境には人が自然を利用することで成り立ってきたというものがあって、そのような環境でないと生き延びられない種類もいます。そういう風景の中で生きる蝶の姿を撮影するのが近年のテーマで、今回はそのはしりを展示した形です。もう一つは、自然を写真として切り取るという人為です。写真には「ありのままの自然」が写るわけではなく、撮り手の意図が介在します。この種の「人為」は、いわゆる生態写真としては歓迎されないところがありますが、そこからいかに自分の写真を解放できるかというテーマへの現段階での自分の答えを示しました。

4.展示を通じて感じたこと、これからの撮影について考えることはありますか。
 普段は画面越しに写真を見ることが多いですが、改めて紙という媒体で写真を見ることの良さを感じています。ギャラリーの海野先生、クリエイティブウォールの堤さん、高橋さんの写真と一緒に飾ることで自分の写真を客観視できてよかったです。 現在、人が自然に介入することで成り立つ里山の生態系を知るためにより多くの生き物に目を配って観察眼を研ぎ澄ませています。それを写真に反映させていきたいです。

堤 悠貴

1.写真を始めたきっかけと、昆虫撮影を行うようになった経緯を教えてください。
 もともと昆虫が好きな少年だったのですが、虫かごの中で死んでいく虫が可哀そうで、写真に撮れば(写真の中では)死なない、一番いい瞬間が残せるので写真撮影を始めました。それが小学校2・3年くらいのことで、最初は祖父から借りたCAMEDIAで撮影していました。なかなか寄れなかったので、お金を貯めて、小学5年か6年の時に一眼レフを購入し、本格的に撮り始めました。育ったのが街中だったので、庭や近所の公園で身近にいる昆虫を題材に撮影していました。当時は近所の友達に撮影した昆虫を自慢するのが重要でした。高校の頃からは自ら写真部を作って活動し、20名弱まで増やして大阪でもそこそこの強豪校になりました。その時にはいろいろなもの、例えば人物や風景なども撮り、世界が広がりました。そこから写真の専門学校に行き、いろいろな写真を撮りながらも、本当に自分が撮影して表現したいものは何かを考え、昆虫に回帰していきました。

2.撮影時に心がけていること、または海野先生との交流の中で影響を受けたエピソードがあれば教えてください。
 以前は、偶然性やドキュメンタリー性も面白いとは思っていましたが、ここ5年くらいは、撮る内容とコンセプトを先に決めて撮影しています。今回展示している「もの」という写真は、最初にテーマを決めて撮っています。トンボが卵を産むときは尾っぽを水面にたたきつけるようにするので、それが釘に似ているなということで組み合わせたり。自然と人工物の共通点を被写体のデザインや機能美から着想を得て、撮影していきました。僕の作品制作の考えとして、自分の言葉で説明ができないものは画面に入れたくないという考えがあります。すると画面内がシンプルになるため、この考えを持って撮影を始めた当初は真っ黒な背景に昆虫がいるだけの写真から始まりました。最近は、なぜ自分は昆虫が好きなのかをテーマにして、敢えて昆虫を撮らない(今回の環世界のように)写真を撮影しています。今後はそういったものを広げていきたいです。昆虫だけじゃない作品、動画も撮っていきたい。

 海野先生は、昆虫の名前をwebで調べたときに、必ず小諸日記が上に来るのでそこから海野先生を知り、オープンして間もないころの大阪のオリンパスギャラリーで写真展を開催されているのを知り、見に行ったのが最初の出会いでした。なかなか先生のように撮れないので、先生にお願いをして車で先生のアトリエまで行き、何週間か撮り方や機材を教えてもらったことをきっかけに、よくアトリエ訪問するようになり、海外ロケにも何度か同行させていただいて、多くのことを学ばせていただきました。なかなか本やトークではわからない、「目線」や撮影の「タイミング」などを隣でみて学びました。弟子入りは断られましたが・・・(笑)

3.今回の展示のコンセプトは?
 今回3つの組写真ですが、この3つは同時並行で進めているテーマです。

 1つはドキュメンタリー性のある「王道の昆虫写真」、もう一つは「誰でも見れる昆虫写真」。昆虫嫌いのひとでもそれが緩和され、昆虫を知るきっかけになってくれるようなデザイン的な作品。三つめは、何故昆虫が気持ち悪いと感じやすいのかとか、何故自分は昔から昆虫が好きがったのか、昔は虫かごパンパンに虫を入れていたのになぜ今はそれをかわいそうと思うのか、そういったコンセプチュアルなところを写真にしたいと制作を進めている「コンセプト重視の昆虫写真」。この3軸で最近撮影したものをまとめました。

4.展示を通じて感じたこと、これからの撮影について考えることはありますか。
 3人で展示してみて、写真は違うけれど考えていることは結構似ていて、既存の昆虫写真から抜け出したい、コンセプトに重きを置くところなど、3人とも共通する部分を感じました。
 スマホやインターネットが身近になって、わざわざ本物や現状を自分の目で見に行かなくても見ることができる環境の中で、僕らは敢えて見に行っているのですが、写真を見ていただく方に何を伝えたいのかというのかというと、生き物は僕らと何が違うのか、命の価値観や、なくなっていく自然についてちゃんと向き合って考えると面白いね、今って変だよねという疑問を持って欲しいという思いから写真を撮っている、というところが3人共通するところで面白いなと、今回展示して思いました。今後は、もっと昆虫写真というものを自分の視点まで落とし込んで、技術に凝り固まらない撮影をしていく予定です。

出展者プロファイル

高橋 怜央(たかはし れお) ●展示タイトル「内在的昆虫写真」
写真家。北海道札幌市出身、埼玉在住。北海道酪農学園大学 環境共生学類 野生動物コース卒業。
幼少期より祖父母の家に預けられ、畑や空き地で身近な生き物に触れる。
虫取り網を振り回す昆虫少年として過ごしたのち、中学生の夏休みで日高敏隆・著 海野和男・写真の『蝶はなぜ飛ぶか』を読書感想文として選んだ事がきっかけで、科学と昆虫写真に興味を持つ。高校から写真部に入部。
OLYMPUSの『E-620』を購入し写真を始めて以降、OLYMPUS製のカメラを使い続けている。大学生の頃祖父の死に直面し写真家としての活動を始め、東南アジア、南米アマゾンなどを旅し、生命とは何かを問い続けている。

2020年 「北海道の生命」を開催。2021年6月から9月に渡って札幌で行われた北海道の生命は、今年2回目となった。

HP:https://neopic.net Instagram:@gen.wildlife


宮田 紀英(みやた のりひで) ●展示タイトル「自然と人為との間(あわい)で」
1997年長野県生まれ。小学2年生の頃から蝶と蛾に関心を抱き、デジタル一眼レフカメラを用いて撮影を始める。小学4年生の夏休みに開いた初の個展「安曇野池田町、蝶の写真展」は地元の評判となり、以降夏の風物詩として2021年で15回目を数える。
同時期に海野先生の推薦で当時最年少会員として日本自然科学写真協会に入会する。また2011年にはテレビ番組で海野先生と共演する。
その後も主なフィールドを長野県の安曇野に構え、蝶や蛾を通じた四季の表現をテーマに撮影を続けてきた。現在、信州大学大学院で芸術学を専攻する傍ら、その知見を生かした撮影活動を行い、長野県松本市、安曇野市、池田町で写真展を開き発表の場としている。

Instagram:@lotus87s


堤 悠貴(つつみ ゆうき) ●展示タイトル「自然と人工」
1996年大阪府出身。日本写真映像専門学校卒業。
昆虫を主体とした自然写真をライフワークとし、国内外問わず撮影を行なっている。
学生時代、昆虫写真家・海野和男氏、栗林慧氏の元で昆虫・自然写真を学ぶ。
(株)博報堂プロダクツ フォトクリエイティブ事業本部 本部長 高橋秀行氏に師事。
現在、同事業本部・フォトグラファーとして所属。 昆虫を詳しく知らない方でも関心を持つことができる作品を制作。意欲的に作品展等を行っている。
日本自然科学写真協会(SSP)広報

HP:https://www.yuuki-photography.com/
Instagram:@yuuki_tsutsumi

推薦者コメント

今回の3人展に出展しているメンバーは一般社団法人日本自然科学写真協会のメンバーです。堤 悠貴、宮田 紀英君は小学生時代からぼくの写真展、写真集、HPの小諸日記に影響されて、ネイチャーフォトの世界に入りました。
堤君は当時大阪在住で、大阪でのぼくの写真展には毎回必ず現れた少年でした。そして今は大手広告会社勤務で、今年は正式カメラマンに採用されました。ぼくの海外撮影にも何回か同行しています。
宮田君は長野県在住なので、長野朝日放送に一緒に出演したりしたこともあります。地元の安曇野東山包美術館で小学生時代から15年間毎年個展を 開催してきました。
高橋 怜央君に実際にあったのは今年ですが、彼も中学生時代から小諸日記に影響されてきました。動物や鳥など昆虫以外の撮影にも意欲的で、 海外撮影歴も豊富です。
3人には新しいネイチャーフォトを切り開いてもらいたいと願っています。
写真家 海野 和男

海野 和男(うんの かずお) 1947年東京生まれ、小学生時代より昆虫と写真に興味を持ち東京農工大学で昆虫行動学を学んだあと、フリーの昆虫写真家として活躍。
1999年よりデジタルカメラで撮影し、コメントを付け発表する「小諸日記」をはじめ、現在まで毎日更新を続けている。
熱帯で擬態、世界のチョウの撮影をメインとしていたが、昨年からは小諸のバタフライガーデンに籠もり、庭の自然を撮影している。写真集「昆虫の擬態」で1994年日本写真協会賞を受賞。
子ども向けの書籍を中心に150冊以上の著作がある。
2021年日本動物行動学会日高賞を受賞。
現在、日本自然科学写真協会(SSP)会長。

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