写真家・福田健太郎がOLYMPUS OM-D E-M1 Mark IIIで紡ぐ
森の5つの物語 <前編>

PART II
OM-D E-M1 Mark IIIが追う、水の巡り

森に入って幾日かが過ぎるうちに、気持ちと身体が自然に馴染んでくる。
必要なだけの時間を取り、じっくりと撮影を進める。
同じ場所でも見えてくるものは心の状態によって変わる。
出会い、気になったものを一つ一つ丁寧に撮影することが好きだ。

信頼の防塵防滴性能と新搭載のライブNDが
目には見えない水の巡りを描き出す

桁外れの防塵防滴性能を持つOM-D E-M1 Mark III。その強靱なボディーは、何が起こるかわからないアウトドアでの撮影で信頼できる相棒となる。
ライブNDが搭載されたことにより、表現はより自由度を増した。NDフィルターを着けたり外したりするわずらわしさから解放され、出会った場面で被写体により集中することができる。写したい設定にすぐにアクセスできる心地よさは、何物にも代えがたいものがある。

1/5秒のシャッター速度で、静寂な滝の姿を伝える

岩肌までしっとりと雨に濡れた、見事な滝。この日はさほど水量はなく、秋の静けさと空気の冷たさの中、滝の姿は静寂を感じさせた。その静けさを、一瞬の高速シャッターではなく、ブレ描写で見せようと思った。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROのワイド側で滝壺から見上げる。タテ位置構図で上から下へと流れ落ちる水のリズムを伝えたい。濡れた岩肌と樹木の質感を徹底的に描写するには5000万画素手持ちハイレゾショットの出番だ。
シャッタースピードは1/5秒。果たして16コマはしっかり1コマに合成できるのか。不安に思ったが、確認してみると杞憂に過ぎなかった。あらためてE-M1 Mark IIIの撮影領域の広さを思う。少しでもぶれては岩の艶やかさは失われる。本当に、とんでもないカメラだ。

ライブNDで絹のような白い流れを生む

奥入瀬渓流はちょうど秋の紅葉に彩られていた。観光客が多い日中を避けるため、早朝から撮影をスタート。絹のようなまっさらな水の流れを撮ることを思い描く。画面真ん中の岩に落ちかかる葉の姿を強調するとともに美しい渓谷美を誘い出すため、1秒のスローシャッターを切りたかった。
明るい時間帯なので、遅いシャッター速度を出すにはライブNDが便利だ。「マイメニュー」に登録したライブNDを作動させ、ND32で5段分シャッター速度を遅くする。イメージはファインダーやモニターでも確認可能だ。
NDフィルターは必要ないが、PLフィルターで水面の反射をコントロールし、紅葉が色濃く出るよう調整している。奥行きのある風景なのでf11まで絞り込んでパンフォーカスし、しっかり三脚を使用して撮影。画面の奥の奥までしっかり解像した。

そぼ降る雨にも動じない、防塵防滴性能

森の奥で、背の高い木々はすっかり葉を落としていた。重たい灰色の空が広がっている。低木の紅葉はまだ残っていて、暖色の紅葉が雨に濡れて艶やかさを放っている。この天候だから目に映った、そんな対比を描きたいと考えた。
初代から防塵防滴性能がとんでもなく優れているOM-Dシステム。しとしととそぼ降る冷たい雨の中だったが、この程度なら迷いなく撮影が行える。カメラの水滴を拭うこともせず、撮影に集中することができた。過酷な環境で自然を撮るのには、その信頼性は心強くありがたい。それに見合った防塵防滴性能を持つレンズとの組み合わせは最強だ。

目には見えない流れを、OM-D E-M1 Mark IIIは写し出す

山中の峡谷、流れの中を漂い続けている落ち葉との出会い。じっと観察するうち、ぶらせば円を描く流れの中に過ぎゆく森の時間が写ると思い、撮影を進めた。
低感度で絞り込んでも自分の思い描く遅いシャッター速度にならなかったので、ライブNDを利用することにした。ND32を選択し、13秒で撮影してみた(左)。しっかりと渦を巻く姿を描写することができた。
ちなみに右の写真は通常モードの1/2.5秒。これでは水の流れの面白さは伝わらない。OLYMPUS OM-D E-M1 Mark IIIならば、肉眼では見えない自然の水の流れをも写し出すことができるのだ。

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