2012 年、OLYMPUS Tough TG-1(以下、TG-1) は、Toughシリーズのフラッグシップ機として、最高レベルの堅牢性・スピード・高画質を達成し、真のアウトドアデジタルカメラとしてデビューした。そのTG-1に、更なる耐水圧性能の向上と細部に至る幾つもの改良を施して、STYLUS TG-2 Tough(以下、TG-2)がデビューした。
特に「耐水圧性能」では-12m→-15mとライバル機たちを大きく引き離し、クラス最大の耐水圧性能を誇る。
新しく搭載された機能としては、解放F値F2.0の非常に明るいレンズを生かせる「絞り優先モード」や、光学ズーム&超解像ズームとの併用が可能になった「スーパーマクロモード」がある。スーパーマクロモードでは、4倍光学ズームと2倍の超解像ズーム併用で8倍相当となり、顕微鏡レベルの超高倍率を得られるなど、水中・マクロに強いオリンパス機ならではのユニークな撮影が楽しめる。
TG-2のレンズ設計は、ズーム位置ワイド端、テレ端共に10cm(スーパーマクロモードではテレ端1cm)と被写体にかなり寄れるので、本格的な撮影が可能となる。また、光学ズームと超解像ズームを合わせて最大8倍相当となるTG-2は、臆病なハゼ類の撮影も得意とし、さらにスーパーマクロモードではこの光学ズームと超解像ズームの併用により、クローズアップレンズ不要で微小な生物を画面いっぱいにとらえた高倍率撮影ができる。まさに水中撮影の為に生れてきたカメラだ。
撮影する楽しみを大きく広げる新機能が搭載されたTG-2だが、カタログスペックの変更ポイントには挙げられていない点では、水中撮影時のAFの再チューニングが施され、静止画・動画共にカチッとしたフォーカスが得られる。その結果、水深-15mまでカメラ単体で水中撮影が可能となった。体感的には画質もワンランクアップしたように感じる。
耐水圧性能の向上と共に細かいブラッシュアップによって、スキューバダイビングや本格的なスキンダイビング時に“本気”で撮影する為の撮影機材に成長したと言える。
その昔、水中カメラとして人気を誇った他メーカー製の一眼レフがあったが、このTG-2はそれに近い存在になると確信した。耐水圧の差はTG-1とTG-2でたった3mなのだが、12m防水のカメラをダイビングに持っていく気はしない。しかし、15m防水性能があれば浅めのダイビングシーンの範囲に十分収まる。今回の撮影フィールドとなったモルディブのハウスリーフなら十分に楽しめる水深だ。モルディブ/エリアドゥでの、TG-2単体作例を是非参考にしていただきたい。
水中使用可能なフィッシュアイコンバーター(TG-1と共用)と、TG-2の組み合わせで撮る水中画像は、少し前のデジタル一眼レフのものより格段に水中発色、解像感、そしてハンドリングの点で上回る。
水中ホワイトバランスの効きが良いこのシステムでの撮影なら、外部フラッシュも要らないので、少ない投資で気軽に水中写真を始めたいダイビングビギナーにお勧めだ。また、手のひらに乗る大きさで本格的な水中写真ができるので、水中での動作の自由を奪われることもない。水中撮影もダイビングも、どちらも思う存分楽しみたいベテランダイバーにもお勧めしたい。
オリンパスならではの「水中ホワイトバランス」と、高感度&高画質を活かした外部フラッシュに頼らない撮影スタイルは、フォト派ダイバーのすそ野を広げる「新しい水中撮影」のスタンダードになっていくだろう。
浮遊物の多いシーンでは、水中ホワイトバランスが役に立つ!フラッシュを照射するとマリンスノーがひどく出るようなシーンでも、OLYMPUSの水中ホワイトバランスなら、フラッシュOFFでも色鮮やかな色彩を再現可能。
超解像ズームは、デジタル的に倍率を上げる、いわゆるデジタルズームの一種だが、ただ画像を引き伸ばすだけではなく、一眼譲りの画像処理エンジンで画素を補完するため、ほとんど画質が低下しない。臆病な被写体にはぜひ使いたい機能だ。TG-2の水中マクロモードには、特別な設定や操作は不要だ。通常のズームの延長線上に配置してあるので、ズーム操作するだけでこの便利な機能が使える。
格段にきれいにとれるようになった「水中スナップモード」で、明るく発色の良い水中シーンが簡単に得られるようになった。カメラ単体で電源ON、シャッターを押すだけで、こんなきれいな写真が撮れる!さらに磨きがかかったTough シリーズの世界!!
耐水圧-15mのTG-2なら、超小型の水中カメラとして使うことができ、浅目水深のダイビングにも活躍。水中使用可能なフィッシュアイコンバーター、テレコンバーターなどの併用が更に楽しみを広げる。
スーパーマクロモードなら、レンズ前1cmの距離で、しかもテレ側最大ズームでの撮影が可能。今まで出会ったことのない超高倍率の世界が楽しめる。
フィッシュアイコンバーター使用時は、メニューからアクセサリーを呼び出し、コンバージョンレンズでFCON-T01を設定する。
TG-2には内蔵LEDが付いている。内蔵LEDを使えばマクロ撮影で、補助光を使った撮影が可能。大がかりなシステムなしでも、こんなにきれいな写真が撮れる。背景を入れ込んだアングル。フィッシュアイコンバーターを使い、ワイドマクロに仕上げてみた。
撮影モード:水中スナップ
絞り値:F3.2
シャッター速度:1/60
ISO:AUTO(200)
フラッシュ:OFF(内蔵LEDのみ)
露出補正:±0.0EV
ホワイトバランス:水中WB
フィッシュアイコンバーター使用
水深:-11.0m
TG-1とTG-2は同じ防水プロテクターPT-053に収納できる。
レンズがカメラの中心に位置するTG-2はプロテクターに入れた状態でも、モニターとレンズの光軸が一致するのでマクロもワイドも、すこぶる撮影がしやすい。
ワイド端は広角25mm(35mm換算)だが、水中専用ワイドコンバージョンレンズを使う場合、カメラのメニューからアクセサリーを選び、PTWC-01を選択する。これによって自動でズームを28mmまで戻し、ワイドコンバージョンレンズ装着によるケラレを防止することができる。
PT-053は、従来のコンパクト機用防水プロテクターから次の部分が進化した。PT-053の底面アクセサリーネジは従来のネジ穴1つタイプから、しっかり固定できるように3つ穴のタイプへ変更されている。グリップ部分のデザインは、中指~小指でつかむようになっており、水中でのホールド感が向上されている。
純正水中フラッシュやコンバージョンレンズの連動も視野に入れた設計に関しては以前のモデル同様で、アクセサリーシューや、光ファイバーケーブルのコネクター(兼遮光板)も標準装備される。
レンズリングには52mm径のネジが切ってあり、ステップアップリングを使用してクローズアップレンズ、ワイドコンバージョンレンズなど取り付けて、より魅力ある作品を撮影することが可能だ。ステップアップリングはPSUR-03を使用する。
PRLC-14
新型レンズキャップ。水中でフラフラしないので撮影しやすい。しかも陸上では外れにくくて良い。
PFCA-02
外部フラッシュ用の光ファイバーケーブルのコネクター兼遮光板。
POSR-053
TG-1/TG-2をPT-053に収納して使う場合に使用する。セットの方法はコンバーターアダプターと同じ。
TG-2が最も得意とするシーンだ。フラッシュ光に頼らず、自然光をふんだんに使い水中ホワイトバランスのみで鮮やかな水中シーンを描く。浮遊物の多いモルディブの海でも、この手法ならマリンスノーは発生しない。デジタル一眼並みの仕上がりになった。
カメラ:TG-2
プロテクター:PT-053
撮影モード:水中スナップ
絞り値:F2.8
シャッター速度:1/400
ホワイトバランス:水中WB
露出補正:±0.0EV
ISO感度:AUTO(100)
撮影地:モルディブ/エリアドゥ
フラッシュや、コンバージョンレンズを使うことによって撮影領域を広げるだけでなく、撮影を作品として創造する楽しさが生まれる。外部フラッシュは、レンズとフラッシュの位置を離したり、照射角度を変えて陰影に変化を出したり、同じ場所からの撮影でも全く印象の違う写真を撮ることができる。コンバージョンレンズを使えば、近接撮影やワイド撮影なども、安価で手軽にレンズ効果が得られるのでぜひ使ってもらいたいアイテムだ。
これらのアクセサリーを装着し撮影した作例を紹介していくので参考にしてもらいたい。
フラッシュ光が魚の群れに回って鮮やかに浮き出た。広い範囲を写したいこのようなシーンではワイドコンバージョンレンズの併用をお勧めしたい。アプローチする前に、群れの動きと他のダイバーの動向を見定めて、どのポジションで待てばよいか考えて撮影する。
やみくもに追いかけていては、魚の逃げるシーンの撮影になってしまう。
ワイドコンバージョンレンズと外部フラッシュの組み合わせで、ここまで本格的な水中ワイド撮影が楽しめた。
背景のブルーの発色とマンタの白いおなか。至福の瞬間ですね。マンタに出会ったときは、追いかけず、マンタの泳ぐコースを予測して、その先で待つと正面からのカットや真下に入ることができる。絶対に追っては駄目!
ガラスハゼをクローズアップレンズを使いギリギリまで近づいて撮影。かなりの近接撮影になるので、アームは長いタイプのPTSA-03がお勧め。短いタイプのPTSA-02だと、フラッシュ光過多になるので、注意が必要。背景が淡いブルーになるように、カメラアングルとレンズの向きを調整する。
背景を黒落としするとマイナー調なイメージになってしまう場合が多い。
動画撮影は1920×1080 のフルハイビジョンサイズ。そしてPC との相性が非常に良い動画圧縮方式「MOV/H.264」により、滑らかで美しい映像が長時間記録可能になった。ムービー撮影専用ボタンにより、ワンタッチで撮影をスタート/ストップできる。
水中での動画撮影なら撮影モードを水中スナップモードに設定しておくことがお勧め。ホワイトバランスや露出の設定などが、水中での動画撮影に向いているからだ。
また、マルチモーション手振れ補正を搭載しているので、水中での撮影で発生しやすい、ゆるやかなぶれを補正し、高度で高画質な動画撮影を楽しめる。
TVでの再生なら接続ケーブルはHDMIケーブルでつなぎたい。データの量が多いので付属のAVケーブルでは精細な画像が得られないので注意。
モルディブのハウスリーフで出会ったギンガメアジの群れに、数度となくアタック。ゆっくり近づくと逃げられず至近まで寄れた。鮮明な動画撮影が可能なTG-2。もはや動画専用のカムコーダーはいらない。
※こちらの動画はオリジナルのデータから圧縮がかかっています
※画質設定を1080pに変更すると比較的高画質な映像になります
防水プロテクターPT-053 (レンズ取り付け部径 52mm) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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