TG-1から始まったToughシリーズのフラッグシップ機も、今回デビューしたTG-4で4代目となった。外見はほぼTG-3から変更なく今回も黒と赤の2ラインナップで、レンズ、センサーなど基本性能についてもTG-3とほぼ同様だ。TG-3自体がフラッグシップ機「OM-D E-M1」と同じ画像処理エンジン「TruePic VII」と1600万画素裏面照射型CMOSセンサーを搭載し、GPSやWi-Fi機能など既に行き着いた感があるが、水中撮影フリークとして嬉しい機能がドーンと追加搭載されている。
主な追加機能は、画像の出力形式をJPEGに加えて、思いのままに画質調整が可能なRAW形式が可能になった。顕微鏡モードでは、撮影可能範囲が10mm~100mmだったのが10mm~300mmに拡大され、さらにフラッシュモードにスローシンクロが追加された。そして、ライブコンポジット(比較明合成)の搭載により、星の軌跡などを記録できるのは驚きだ!
水中HDRモードは、水中でのHDR撮影用に開発された新しいモード。水中の色味を効果的に補正しながら、露出を変えて複数枚撮影を行い、水中らしさを残したHDR写真の撮影ができる。明暗差が大きいシチュエーシ ョンでも被写体をバランスよく再現し、ホワイトバランスを水中用に最適化しながら、幅広いダイナミックレンジを持たせる最新の撮影モードだ!
通常では黒つぶれを起こしシルエットになってしまうモデルのディテールも表現され、洞窟の外の景色も白飛びを起こさずにしっかり表現されている。今回パワーアップされた機能の中でもっともお気に入りの機能がコレだ。
シルエットぽく撮りたい場合は水中スナップ。フラッシュを使わず、ダイバーや岩肌を表現したい場合は水中HDRと使い分けができる。水中HDRでも露出補正がかけられるので明るさの調整は自在に可能だ。
TG-3までは数多くのSCNモードの中から水中モードを探してセットしなければならなかったが、TG-4では水中モードを独立させて1つのダイヤルポジションとなった。新しく追加された水中HDRモードを加えて5モードとなり、水中のあらゆるシーンで即座に対応することが可能となった。どのシーンに何のモードを使えば良いかは、作例を参考にしていただきたい。
水中スナップ
水中ワイド1
水中ワイド2
水中マクロ
水中HDR
顕微鏡モードを使うと、被写体まで10mmの距離で撮影が可能。光学ズーム+超解像ズーム、もしくはデジタルズームを使用することにより、まるで顕微鏡で観察しているほどの倍率で撮影を楽しめるのがこの顕微鏡モード。水中でもエビ・カニ・ポリプの撮影に大いに役立つ撮影モードだ。初期設定のまま水中でこのモードを使うと水中向けにチューニングされていないので緑かぶりとブレの大きな写真になるが、水中向けにチューニングすると驚くほど面白くきれいなマクロフォトになる。
従来よりも広がった撮影範囲
従来機種(TG-3)の顕微鏡モード時の撮影範囲は、10mmから100mm。TG-4は10mmから300mmまでとなり、撮影可能な範囲が広がり使いやすくなった。さらに、TG-4ではフラッシュモードにスローシンクロが追加されたので、フラッシュ使用時に明るい背景が狙える。
1.顕微鏡モードを選択
2.仕上がりをVIVIDにセット
3.フラッシュを強制ONにセット
4.ホワイトバランスを水中にセット
上記で仕上げた水中用顕微鏡モードを、カスタムモードにセットして登録すると、毎回設定し直さなければならない煩雑さがなくなる。カスタムモード1にセットすれば、C1にダイヤルを合わせるとスペシャルセッティング/水中顕微鏡モードが立ち上がる。
1.メニューからカスタムモード登録を呼び出す
2.カスタムモード1を選択
3.登録
4.ダイヤルをC1にセットするだけで水中顕微鏡モード
水中モード使用時にのみ、フラッシュ補正が使えるようになった。ミラーレス一眼はもちろん、STYLUSシリーズのように高級コンデジに搭載されているフラッシュ補正がついにTG-4にも搭載された。なんとも嬉しいことである。水中撮影で最も大切な要素のフラッシュ光量コントロール。内蔵フラッシュはもとより、RC外部フラッシュであるUFL-3とのコンビネーションでも無くてはならないファンクションだ。これならTG-4で作品を狙うというレベルの要求にも対応できるので、今までの高級コンデジからの乗り換えも増えそうだ。
浮遊物のやや多い環境で内蔵フラッシュを使った撮影。浮遊物にフラッシュ光が反射して、マリンスノーが発生する。今までのコンデジだと、マリンスノーの発生を我慢して撮影するしかなかった。TG-4ならフラッシュの発光量を簡単に抑えることが可能。マリンスノーが少なく、クリアーな水中写真が手に入る。
1.揺れる水中では、動画撮影時手ぶれ補正をON
2.性能をフルに引き出すには、画質を16Mにセット、RAWデータが必要の方は16M+RAW
3.撮影確認は、3秒にセットしてじっくり確認したい
4.外部フラッシュUFL-3を使う場合は、アクセサリーからリモートフラッシュ、RCを選択
AFでピントを合わせ、OKボタンを押すとフォーカスがロックされる。
細かいピントを要求されるマクロ撮影や顕微鏡撮影では、フォーカスロック機能を使い、1度合わせた被写体までの距離を固定して、AFを使わずに撮影することが可能。
AF方式をスポットにセットする。
左手を着底させて三脚に固定並みのカメラのホールドが必要になるが、ピント合わせはしやすくなる。
AF方式がターゲット選択時以外でフォーカスロックが利用可能
フォーカスロック後は十字キーの上下ボタンを使ってピントを手動で移動させることが可能だ!
エビの目の部分にAFターゲットを配置させる。
マクロ撮影では、AFターゲットの位置を画面に自由に配置して撮影する手法が有効な場合が多い。画面中央からやや左側にカクレエビの目を配置させたいときは、中央1点でのAFターゲットでピントを合わせるのが至難の技だ。このような場合、AFターゲットの選択が可能になった。5×5のエリアを十字キーで選択できる。
AF方式をターゲット選択にセットする。
OKボタン長押しで、AFターゲット選択が起動する。十字キーを操作して好みの場所へAFターゲットを移動させる
水中スナップモードで、浅い水深のきれいなサンゴを撮影。背景の透明度もすこぶる良く、爽やかにかつ、鮮やかに仕上がった。これ以上キレイに撮れるコンデジは他に無いだろう!
防水プロテクターに入れてスクーバーダイビングで撮影。露出補正、フラッシュ補正共にデフォルトの±0.0のまま撮影。チューニングの高さが証明されるカットになった。背景の明るさ、フラッシュの光量共に良好だ。浮遊物が多い環境であれば、ここからフラッシュの光量を落としていけば良い。
TG-3の内蔵フラッシュの照射はコンデジ・ユーザーが好むやや強めにコントロールされる傾向にあったが、TG-4ではフラッシュ補正機能が搭載されているのでここから好みのフラッシュ量に調整することができる。暗い環境でのオートフォーカスの動作も問題ない。ナイトダイビング以外なら水中ライトも不要なほどだ。
水中洞窟の水面に浮かぶモデルを水底から撮影。HDRでしか撮れない不思議感いっぱいの作品に仕上がった。NEVER SEEN!!
水中洞窟の1シーン。通常撮影モードでは、明るい場所の露出を合わせると黒く潰れてしまう洞窟内の岩肌もしっかりとディテールを残せる。水面から注ぐ眩しい光と洞窟内の風景を同一画面に表現できるようになった。
通常のHDRモードで撮影すると、OLYMPUS水中モード特有の、きれいで緑かぶりしない仕上がりが失われ、あまく物足りない仕上がりになるが、水中HDRモードを使うとOLYMPUS水中映像らしさを残したHDR写真の撮影が可能だ。通常撮影モードでは、水面外の景色は真っ白に飛んでしまうが、水中HDRなら白飛びを起こさずに写し込むことができる。今まで見たことの無い写真に仕上がった。
顕微鏡モードのワーキングディスタンスの幅が広がったので、高倍率撮影時、被写体をモニター上で捉えやすくなった。内蔵フラッシュでも十分な光量を得られるので、狭い空間に潜む被写体の撮影には他のカメラの出番はない程だ。
防水プロテクターPT-056 (レンズ取り付け部径 52mm) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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