水中写真業界では記録的なヒットを出した「OLYMPUS XZ-1」と、その専用防水プロテクターがフルモデルチェンジした。
カメラについてはネーミングも少し変わり、「STYLUS XZ-2」となって随所に新しい技術が投入された魅力的なカメラになっている。
撮像センサーは1/1.63型CCDから、新しいタイプの1/1.7型裏面照射型CMOSセンサーに変更。画像処理エンジンもOM-D、PENシリーズにも搭載されているTruePic VIを採用し、広角から望遠まで明るい光学4倍「i.ZUIKO DIGITAL」レンズの性能を最大限に引き出している。デザイン的にはソフトな印象のXZ-1に対し、直線でシャープな雰囲気に変わっている。モニターは水中での視認に独特のものがあった有機ELモニターから、チルト可能な高精細TFT液晶になって撮影フィーリングの向上に大きく貢献している。
長秒時ノイズ低減と高感度ノイズ低減の設定が可能となり、設定できるISO感度の上限はISO12800でXZ-1に比べに1段分上がっている。解像力、階調特性も新しい撮像センサーと画像処理エンジンの搭載で、見違えるほど向上しているのが水中、陸上共に確認できた。
水中撮影において、水中ホワイトバランスの制御が詳細に見直された。XZ-1は初代の水中ホワイトバランスを搭載しているため、シーンによっては被写体の赤みがやや強くなったり、背景ブルーが色飽和するシーンなどが若干見られたが、XZ-2は水中ホワイトバランス搭載機の中で、最も優れたものと言えるほど慎重に煮詰められている。目も開けられないような眩しいビーチで撮る半水面から、浮遊物が多く暗い最悪の環境でもOLYMPUSらしい鮮やかな発色を得ることができる。
今回のインプレッションは、水中のマクロ撮影は沖縄、水中のワイドと陸上撮影はモルディブで行った。同時にE-PL5の撮影も行ったが、XZ-2がコンパクトデジタルカメラだということを忘れてしまう位に、良く仕上がったカメラだと感じたインプレッションだった。
広角側での開放F値がF1.8 、望遠側でもF2.5 と、広角から望遠まで非常に明るいレンズだ。デジタル一眼用交換レンズ「ZUIKO DIGITAL」と同等の品質基準を満たし、中心から周辺まで、均一でシャープな描写性を実現し、ゴ-ストやフレアを押さえたクリアな写真表現が可能。
XZ-2の階調&色調表現力は、新しい撮像センサーである裏面照射型CMOSセンサーの利点を最大限に生かしている。
前モデルのCCDセンサーに比べてダイナミックレンジが広がり、モルディブの高輝度下のビーチでも白飛びしない画像が手に入る。
画像処理エンジンもPENシリーズで磨かれて育ったTruePic VIを搭載し、透明感のある高彩度な水中画像に変わっている。ブルーの発色も赤系のソフトコーラルも階調豊かに仕上げることができる。少し前に使っていたデジタル一眼レフより鮮明だ。
新しく搭載された1200万画素の1/1.7型裏面照射型CMOSセンサーは高感度特性が大幅に向上。ISO100~12800の範囲で感度設定が可能になった。ISO感度とノイズの関係については色々な意見や個人感覚の差もあるが、今回のテスト撮影での常用域はISO100~1600が許容域と感じた。ISO3200まで上げると暗部にノイズが出てくる。
長時間露光時のノイズも前モデルよりかなり低減されているのが確認できた。
新しいセンサーと画像処理エンジンの組み合わせで、コンパクトデジタルカメラとは思えないほどの高解像力。
画像の隅々までシャープでクリアに写る。
PT-054の耐圧水深は45m、Fn2ボタン以外全てのボタン、ダイヤルが操作可能にデザインされている。
XZ-2収納時に水中での浮力は、バランスウエイト無しではプラス浮力だが、オプションで用意されるバランスウエイト「PWT-1BA+PWT-1AD」の2枚を併用すると、水中でゆっくり沈む状態になる。
大型の拡散板はXZ-1を収納するPT-050のものを流用するが、外部フラッシュの光ファイバーコネクターの差し込み口が2口となっており、本気の撮影へと誘っているようである。プロテクター上部のモードダイヤル、ポート部分に配置されるハイブリッドコントロールリングダイヤルは大型化され操作がしやすくなっている。
回転式のバックルはロックレバーのバネ圧が強化され、セカンダリーのロック機構も追加されたダブルロックになったことで安心度も増した。水密を保つOリングはワンサイズ大きいものを採用。側面圧着式水密性の向上を狙う為、フラッシュ部周辺のボディー形状を変更して、Oリングがゆったり回るR径に変更された。そのほか底面のアクセサリー結合用プレートは、大型の3穴タイプに変更し、強度アップも施されている。動画録画ボタンを埋め込み式のボタンにし、誤作動防止になる作りとなった。
全体的にPT-050より一回り大きくなったが、よりハイクオリティーな作品の撮影を狙って、様々なアクセサリーの装備を想定した贅沢な作りになっている。
PT-054を背面から見る。
動画ボタンに加えられた誤動作防止用の変更がわかる。モードダイヤルが大型化されている。
PT-054を斜め正面から見る。
レンズ横のレバーが追加された。Fn2ボタンの操作は防水プロテクター上では出来ない。
PT-054を底面から見る。
アクセサリー結合用のプレートが3穴タイプに変更となっている。
ハイブリッドコントロールリングのダイヤルも大型化されている。 光ファイバーのコネクターは2穴タイプへ、回転式バックルはダブルロックに変更。
MPBK-03との組み合わせは水中でゆっくり沈む
一番手頃な撮影システムは内蔵フラッシュで撮影するシステムだ。
水中ホワイトバランスとの組み合わせなら、内蔵フラッシュのみできれいに撮れる。
基本的にコンパクトカメラなので、大量にアクセサリーを付けて撮影する事はあまりお勧めしないが、クローズアップレンズの併用はお勧めしたい。小さなアクセサリーだが強力な表現力を得ることができる。
外部フラッシュを使う場合は、純正フラッシュを使っていただきたい。
プリ発光から本発光まで複雑な発光をするXZ-2は、純正フラッシュの使用でカメラの性能を100%発揮できるからだ。是非、お勧めしたいのが水中専用フラッシュ「UFL-1」。フラッシュ補正を使い、カメラ本体でフラッシュの光量をコントロールできるようになっている。高度な発光テクニックを使いたい方にはリモートコントロールの「UFL-2」がお勧めだ。
本格的なワイド撮影では、純正のワイドコンバージョンレンズ「PTWC-01」を使用する。旧タイプのワイドコンバージョンレンズやサードパーティー製のレンズではXZ-2の性能を100%発揮できない。「PTWC-01」を使ったワイド撮影では画面の隅々までシャープな画質が得られる。
MPBK-03 & MPレンズホルダー67
UFL-1 & MPアームS×2+MPBK-02+PTWC-01
UFL-2 & PTSA-03+PTWC-01
換算28mmの広角レンズに大型のガラスポートのZX-2&PT-054なら半水面写真も撮れる。発色の良さはフラグシップ機E-5に迫るほど。
撮影モード:水中ワイド
絞り値:F8.0
シャッター速度:1/800
ISO:100
フラッシュ:OFF
露出補正:+0.3EV
WB:水中WB
撮影地:モルディブ
プロテクター:PT-054
バランスウエイト兼グリップ:MPBK-03
天候の優れない慶良間の夕方に撮影。暗いシーンでも明るいレンズのおかげで何事も無かったようにカバーされる。
撮影モード:水中ワイド
絞り値:F2.5
シャッター速度:1/200
ISO:100
フラッシュ:ON(-0.3EV)内蔵のみ
露出補正:-0.3EV
WB:水中WB
撮影地:沖縄/慶良間
プロテクター:PT-054
バランスウエイト兼グリップ:MPBK-03
カラフルなソフトコーラルとキンギョハナダイの群れ。そこそこの流れの中、気持ち良く泳ぐハナダイの群れを鮮やかに表現した。
撮影モード:水中ワイド
絞り値:F2.5
シャッター速度:1/400
ISO:100
フラッシュ:ON(-2.3EV)UFL-1×2
露出補正:-1.3EV
WB:水中WB
撮影地:モルディブ
プロテクター:PT-054
バランスウエイト兼グリップ:MPBK-02
アーム:MPアームS×2
フラッシュ:UFL-1×2
新しいカメラが来たら必ず撮る大好きなヤシャハゼ。ジックリ時間をかけて寄りカメラで砂を押し分けるくらいにローアングルで背景をブルーに抜く。デジタルテレコンを使わず画質優先でジックリ作戦。
撮影モード:水中マクロ
絞り値:F5.0
シャッター速度:1/100
ISO:200
フラッシュ:ON(±0.0EV)内蔵のみ
露出補正:±0.0EV
WB:水中WB
デジタルテレコン:OFF
撮影地:沖縄/慶良間
プロテクター:PT-054
バランスウエイト兼グリップ:MPBK-03
解像力テストにピッタリな被写体。イバラカンザシ。XZ-2が如何に解像力があり高画質なのかわかる。明るいレンズを生かし、フラッシュOFFで狙ってみた。
撮影モード:水中マクロ
絞り値:F4.0
シャッター速度:1/320
ISO:100
フラッシュ:OFF
露出補正:±0.0EV
WB:水中WB
デジタルテレコン:OFF
クローズアップレンズ:PTMC-01
撮影地:沖縄/慶良間
プロテクター:PT-054
バランスウエイト兼グリップ:MPBK-03
レンズホルダー:MPレンズホルダー67
クローズアップレンズ:PTMC-01
ワイドコンバージョンレンズを使い、本格的な水中ワイドの動画を撮影した。モルディブでヨスジフエダイの群れに迫ってみた。
カラーフィルターなしでも水中ホワイトバランスが効き、水深20mでも自然な色合いで鮮やかな動画が手に入った。
※こちらの動画はオリジナルのデータから圧縮がかかっています。
※画質設定を1080pに変更すると比較的高画質な映像になります。
撮影モード:水中ワイド
ISO:AUTO
露出補正:+0.7EV
WB:水中WB
画質:FULL HD
ワイドコンバージョンレンズ:PTWC-01
撮影地:モルディブ
カメラの設定状況を一目でわかるように設定するには、カメラコントロールを開きます。
LVスーパーコンパネをONにセット。これでOKボタンを押すとLVスーパーコンパネが表示されます。
フラッシュの設定やフラッシュ補正等をこの画面でコントロールします。変更したい項目にマークを合わせてOKボタンを押します。
フラッシュ補正のコントロール画面で光量調整を行います。
ダイヤル機能設定からシーンモード選択時に、ハイブリッドコントロールリングにシーンモードが割り当てられるよう設定。
これでレンズ横のレバーが下がっている時は、ハイブリッドコントロールリングを回すとシーンモードを選ぶことが可能になった。
水中マクロ選択時
水中ワイド選択時
ハイブリッドコントロールリングは、レンズ横のレバーの向きを変えることにより、機能に合わせた操作感に切り替えることが可能。
(デジタルコントロール:クリック感あり、アナログコントロール:スムーズに回転)
レンズ横のレバー。レバー下で水中モードの切り替え(水中マクロ⇔水中ワイド)に設定したので、通常は下げておく。レバー斜めだとマニュアルフォーカスをコントロール。
ハイブリッドコントロールリングのダイヤルはこの位置。レバーが下がった状態で回すとシーンモードを変更することができる。
水中モード選択時は Fn1ボタンにデジタルテレコンが自動的にセットされる
デジタルテレコンON時に表示されるマーク
フラッシュのポップアップは忘れずに行って収納する。閉じてしまうと防水プロテクター上ではポップアップ操作できないので要注意。(私も数度となくミスしました)
シリカゲルはSILCA-5Sタイプを使用。
モードダイヤルの位置は防水プロテクターの外側から見づらいので、あらかじめダイヤルをシーンモードにセットして置くと良い。
XZ-2のモードダイヤルを防水プロテクター上からコントロールするダイヤル。
回転式のバックルはロックレバーのバネ圧が強化され、セカンダリーのロック機構も追加されたダブルロックになり、安心度が増している。
水密を保つOリングは前モデルよりワンサイズ大きいものを採用。慎重に外してメンテナンスを行う。Oリングを一度外して、Oリング溝&Oリングの清掃およびグリスアップを行う。
Oリング用のグリスは専用のグリスを使う。側面圧着式の水密方式を採用しているのでOリングには多めにグリスを塗る。グリス不足はOリングにひきつりを起こし、水密が得られない状態を作る。
指でグリスをなじませながら、ゴミや砂、髪の毛などが付着していないかチェックする。使わなくても年に1度はOリングを交換する。
外部フラッシュを接続する場合は、内蔵フラッシュ光を遮断させる遮光板「PFC-054」を併用する。光ファイバーのコネクターは2穴タイプになったので、外部フラッシュ1灯の場合はキャップを差し込んでおく。
UFL-2使用時はメニューからRCモード→ON
通常はRCモード→OFF
カメラを防水プロテクターから出さなくてもスマートフォンやiPadなどに画像をダウンロードさせることが可能。
実際にiPhoneを使ってファイルを転送してみた。設定は簡単! Wi-Fiで「FlashAir」をタッチするだけだ。
XZ-2は「FlashAir」対応なので、カメラ内で初期設定や「FlashAir」の無線LAN機能のON/OFFができるので便利だ。
ブラウザで「flashair」とURLに入力するだけで手軽に画像がシェアできる。
FlashAir™とは無線LAN機能を搭載したメモリカードで、今ダイバーでは注目のアイテム。なぜなら、FlashAir™を使えば、カメラを防水プロテクターにセットしたまま、手軽にiPhoneなどのスマートフォンやタブレット端末に直接データ転送できるのです。
ダイビングの合間に、今出会った感動をすぐさま、FacebookやTwitterなどに投稿したりランチで写真を見ながら盛り上がったり、楽しさ倍増のぜひ揃えておきたいコミュニケーショングッズです。
※FlashAir™は、株式会社東芝の商標です。
XZ-2専用防水プロテクターPT-054、アクセサリー | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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