Vol.08 青い翅をもつモルフォチョウ
2010年02月26日 11:00 テーマ [ モルフォチョウ ]
今回の旅の目的は、動物行動学者の日高敏隆先生と脳科学者の茂木健一郎さんと一緒にコスタリカの生態系、特に熱帯雨林と熱帯雲霧林の生態系をじっくりと観察することでした。
皆さんと話し合った結果、明日は蝶がたくさん捕れそうな場所で昆虫採集をしようということになりました。
翌朝は快晴で、気温も上がり昆虫採集にはとてもよい天気になりました。蝶の通り道になっている場所を見つけた私達は、そこで捕虫網を振ることにしました。
日高先生は、短い網をとりだし地表近くの植物をすくうように採集して、網の中に入った小さな昆虫を吸虫管(小さな虫を吸い取って捕まえるための道具)に移していました。
茂木さんは解き放たれた少年のように網を振りながら蝶を追いかけていました。
その時に向こうのほうで茂木さんが「あっ!」と突然大きな声を出して勢いよく走り出しました。
よく見ると樹の茂みの向こうに一瞬飛び立った青い翅が見えました。
モルフォチョウです。
何度か網を振りながらも追いかけていく茂木さんがついにモルフォチョウを捕まえました。網からだしたモルフォチョウを日高先生も一緒にニコニコしながら見つめています。
翅を閉じた時は、褐色に目玉模様で地味に見えるのですが、その翅を開けると鮮やかなブルーが目に飛び込んできます。
この光沢のある青は、翅の表面が微細に刻まれた鱗粉の構造により光が干渉し、青い波長の光だけを反射して現れるそうです。
モルフォチョウの美しい翅の青さに自然が作り出す色の不思議な力を感じます。
次回は、虫の気持ちになった話です。