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Earth Color


Vol.09 雪と氷の3,900kmドライブ(その2)

2010年02月10日 11:00 テーマ [ オーロラ, ユーコン ]

ホワイトホースへ帰ろう!


ツンドラの荒野。微妙な色彩の優しいオーロラが現れた。ISO800、60秒で撮影。
E-3ZUIKO DIGITAL ED 11-22mm F2.8-3.5

引き寄せられるように到着したツクトヤクツクは、人口1,000人の小さな町。住民の殆どがイヌイットで、大規模な油田開発や東西冷戦のレーダー基地などで発展した町だ。

この時期、11時過ぎに明るくなり15時には暗くなる、太陽は全く顔を出さない。薄暗い町を走りながら、宿泊施設を探すがなかなか見つけられない。観光客が来ない冬期は閉まっているのだが、頼み込んでB&B(家族経営などの小規模な宿泊施設)を開けてもらい、どうにか一夜の宿を手に入れることができた。帰国便は8日後、日程にはまだまだ余裕がある。

夜、オーロラは厚い雲に阻まれ現れず、風が強くなり何度も目が覚める。窓の外は地吹雪で真っ白、嫌な予感が徐々に高まっていく。朝を迎えても状況は変わらず、アイスロードが通行止めになっていることを知らされる。
「帰れない」

この日は大晦日。夕方には天候が回復し、新年を迎えると銃やクラクションなど音が出る物が一斉に鳴り始め、スノーモービルが町中を走り回る。新年を迎える光景は、どの国も同じようなものだ。
暫くすると待ちに待ったオーロラが現れ、小高い丘に登り極北のオーロラを堪能。しかし、数時間後にはまたブリザードで真っ白な世界に逆戻りした。

元旦は、一日中ブリザードが吹き荒れ部屋の中に缶詰。翌朝も天候は変わらず、「帰国便に間に合わないのでは・・・」と焦りが募る。こんな気持ちを察してか、隣の住人が昼食に招待してくれ、ベルーガやカリブーなどのイヌイット料理を頂いた。

午後遅くブリザードが去り、夜空いっぱいにダイナミックなオーロラが現れた。しかし直ぐにアイスロード開通とはならない。まず町の除雪作業を優先、数台の除雪車は朝からフル稼動している。町の中を歩いていると「明日の朝にはアイスロードが開通するから心配するな」と人々が声を掛けてくれる。


ツクトヤクツクを代表する1931年建設のカソリック教会とオーロラ。ISO200、4秒、F2.0、お気に入りのZUIKO DIGITAL ED 14-35mmで撮影。
E-3ZUIKO DIGITAL ED 14-35mm F2.0 SWD


「さぁ帰ろう」整備されたアイスロードを走り始めると、西の空が次第に明るくなっていく。
E-3ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD

ツクトヤクツク最後の晩、またしても素晴らしいオーロラが現れた。町の最北まで移動して撮影を始めるが、冷たい風が雪を巻き上げ極北の寒さが襲いかかってくる。撮影を終えて引きあげる時、アイスロード周辺では幾つもの光が行き来している。夜を徹して除雪作業が行われている。

残り時間は3日間、ここまでは時間を掛け小刻みに来たが、帰りは制限時間付きで一気にホワイトホースへ、1400kmのロングドライブだ。


翌朝、オープンと同時に一番乗りでアイスロードに入り、除雪作業中の中を進む。特に吹きだまりには注意が必要で、不用意に突っ込むとスタックして動けなくなってしまう。それでも緊張感は往路には及ばない。知っているということの安心感が心強い。

イヌビックで給油、デンプスターハイウェイで峠を越えユーコンに戻り、日が変わる頃イーグルプレインズに到着し一安心。
夕食の準備をしていると、かすかな光が立ち上っている。

「オーロラが来る」


アイスロードで出会った犬ぞりの一行はツクトヤクツクに向かう。シンプルな交通手段だが、故障のない確実な手段だ。
E-3ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD


寒さの余り、雪の中に屈み込んだ。小動物が見上げるとオーロラはこんな感じに見えるのだろう。ISO800、20秒で撮影。
E-3ZUIKO DIGITAL ED 14-35mm F2.0 SWD

静かで優しいオーロラが、夜空に大きな橋をつくる。ふかふかの雪の中に腰を下ろし、オーロラを見あげる。吹きさらしにいるより、雪に埋もれている方が暖かい。

結局、寒さに耐えきれず撮影を切り上げた、仮眠の準備を続ける間もウインドウの外にはオーロラがゆらゆらと揺らめいている。


朝、サイドミラーに映った真っ赤な朝焼けで目が覚めた。久しぶりに見る輝きに、気力が漲ってくる。給油を済ませ、また走り始める。残り850km、焦らず慎重な運転を心掛ける。

目一杯走り、疲れたら仮眠を繰り返し、翌朝には無事にホワイトホースに帰着。どうにか帰国便には間に合った。

ある程度の悪天候は計算していたが、最後の一週間は天気予報と睨めっこで大いに緊張感を味わった。


目が覚めるような鮮やかさ。この3時間後には、夕焼けを撮影しているから面白い。
E-3ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD

極北カナダの厳しさとそこで生きる人々の暖かさ、美しいオーロラ、野生のカリブーと価値ある貴重な旅になった。少々無謀なドライブではあったが、変わりゆく地球の色を自分の目に焼き付けることができた。



Vol.08 雪と氷の3,900kmドライブ(その1)

2010年02月03日 11:00 テーマ [ ユーコン ]

ベーリング海の町ツクトヤクツクへ!

今回は、年末に出かけた無鉄砲なオーロラ撮影の話し。
一足先にユーコンに向かったことは前回冒頭で触れたが、到着と同時に寒波に見舞われいきなり-30℃の中に放り込まれた。ホワイトホースでツアーの打ち合わせとロケハンを済ませ、4日目の夜、オーロラを求め北上を開始した。


どこまでも続く雪の道を慎重にドライブ(デンプスターハイウエイで)。
E-3ZUIKO DIGITAL 12-60mm F2.8-4.0 SWD

ユーコン準州を北に伸びるクロンダイクハイウェイ(2号線)、フロントウインドウの向こうにはオーロラがゆらゆらと輝いている。視界が開けると車を止めて撮影、そしてまた走り出す。明け方には力尽き、車の中で朝まで仮眠した。

目が覚めるとまた走り出す。
昼過ぎに北極圏に続くデンプスターハイウェイ(5号線)に入るが、ガソリンスタンドがあるイーグルプレインズは370km先、日照時間が短いので到着する頃は真っ暗になってしまう。交通量の少ない荒野の雪道、リスクを避けて引き返し最寄りのモーテルで一泊、翌朝再チャレンジすることにした。

朝9時に出発、明るくなるのは11時頃なのでまだ真っ暗。今回の旅のもう一つの目的は、季節移動で南下しているカリブーの群れを撮影すること。2008年には南下している群れを待ち受けたが、この旅では南下した群れを捜す。


野生動物を追いかけて雪原へ。
E-3ZUIKO DIGITAL 12-60mm F2.8-4.0 SWD

カリブーは、雪に埋もれた地衣類を食料にしている。 夏の景色を思い出しながら、地衣類が広がっているであろう場所に車を止め雪原に分け入る。

雪に埋もれブッシュをかき分けて進むと、目の前に400〜500頭の大群が現れた。夢に見た光景が眼前に広がっている。静かに近づき夢中でシャッターを切る。接近し過ぎたのか、僕の存在に気が付いてカリブーは小走りで離れていった。


冷たい風は雪を巻き上げ、厚い霧が僅かな明るさを遮る。人間にも厳しい環境だが、撮影にも厳しい条件だ。マグネシウム合金のボディは冷たくなりやすいが、体感-40℃以下になってもノントラブルで撮影を続けられた。タフなE-3は心強い。


霧の中、季節移動で南下したカリブーの群れを発見。
静かに忍び寄って夢中でシャッターを切った。

E-3ZUIKO DIGITAL ED 300mm F2.8

イーグルプレインズに到着したのは、午後4時過ぎ。クリアーな夜空を期待していたが、雪雲に覆われている。さらにこの晩から3日間、ブリザードのため北に向かう道は通行止めになった。

イーグルプレインズの標高は約800m、更に北に進み峠を越え隣のノースウエスト準州に入れば、限りなく広がるマッケンジーデルタと呼ばれる平野部に出る。「そこでオーロラを撮影しよう!」


開通を待って、陸路で行ける最北の町イヌビックを目指して走り出した。距離は370km。
イヌビックには2日間滞在。この間、決して太陽の活動は活発ではなかったにも関わらず、毎晩オーロラは現れた。

凍ったマッケンジー川に車で乗り入れ、氷上での撮影。希に通りかかる車は、停車している僕の車を見つけると傍らに停車し『何かあったのか、大丈夫か?』と必ず声を掛けてくれる。厳しい自然の中、ひとつのトラブルが生死に関わるからだ。


イヌビック近郊、凍ったマッケンジー川の上に
出現したオーロラ。ISO200、10秒で撮影。

E-3ZUIKO DIGITAL ED 14-35mm F2.0 SWD

連夜のオーロラ撮影で一安心、気分を良くした僕はもっと北に行きたいと考えた。冬の間だけ、凍ったマッケンジー川からベーリング海の町ツクトヤクツクまで、194kmの氷の道・アイスロードが開通する。

「どんな町なのだろう?」「オーロラベルトの北側に位置するツクトヤクツクでは、南の空にオーロラが見えるのだろうか?」・・・沸き上がる好奇心を押さえられない。

ユーコンに来て11日目。アイスロードを走り出し、時速30km/hの超低速運転で極北の町を目指す。アイスロードは波のようにうねっていたり、亀裂や小さな段差が所々にあるので、乗用車ではこの速度が限界だ。


例年のアイスロードは鏡のようにフラットで、時速100km/hで走行できるのだとか。今年の状況は異常のようで、亀裂や段差がない場所を探しながらアイスロードのルートは頻繁に変更されている。これも地球温暖化の影響なのだろうか。

やっとの思いで辿り着いた最果ての町、ツクトヤクツクで出会ったオーロラ。ISO200、10秒で撮影。
E-3ZUIKO DIGITAL ED 14-35mm F2.0 SWD


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