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写真家北山輝泰がM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROで撮影した星空の写真5

OM SYSTEMで春の星空を撮りに出かけよう

北山 輝泰

撮影・解説 : 星景写真家 北山 輝泰

Official Home Page:Starry Works

2023年1月公開

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レンズをご紹介

この記事について

みなさん、こんにちは。星景写真家の北山です。この記事では、星景写真で撮るべき「星空」の情報を季節ごとにお伝えしています。今回は、春に撮るべき星空についてご紹介いたします。みなさんもOM SYSTEMを持って、星空の下へ出かけましょう!

春は”夜空にできる大きなカーブ"に注目

春の星座を思い浮かべた時、みなさんはどのような星座が思いつくでしょうか?夏や冬に比べると少し印象が弱いため、パッと思い浮かばないという方もいるかもしれません。そんな時はまず、夜空に出来上がる大きなカーブを見つけましょう。カーブを探す上で最も重要なのは「北斗七星」を見つけることです。北斗七星は、おおぐま座の胴体から尻尾までを繋げて作る図形のことですが、水をすくう柄杓に似ていることから「ひしゃく星」とも呼ばれています。北極星を探す指標となる星でもあるため、覚えておくとどこに行ってもすぐに北を見つけることができます。

例えば、4 月に北斗七星を見つける場合は、日没後暗くなってから北東の空を観察してみましょう。逆さまになったおおぐま座と共に、北斗七星を見つけることができるはずです。北斗七星を見つけたら、柄杓の柄の部分に沿って、大きなカーブを作っていきます。そうすると、一際明るくオレンジ色に輝く星を見つけることができます。それがうしかい座の「アークトゥルス」です。アークトゥルスとはギリシャ語で「熊の番人」という意味ですが、おおぐまの後ろをすぐついて周っているように見えるため、そのような名前がついたそうです。アークトゥルスを見つけることができたら、そのままカーブを伸ばしていくと、アークトゥルスとは対照的に、青白く輝く星を見つけることができます。それがおとめ座の「スピカ」です。スピカとは「稲穂の穂先」という意味のギリシャ語ですが、おとめ座は豊穣の女神デメテルが星座になった姿と言われ、おとめ座が夜見やすくなる季節がやってくると地上の農作物も実るということから、おとめ座を象徴する一等星にスピカという名前をつけたと言われています。この北斗七星からアークトゥルス、そしてスピカへと繋がる大きなカーブこそ「春の大曲線」と呼ばれるもので、春になったらぜひ探してほしい星の並びです。また、今回ご紹介した「おおぐま座」「うしかい座」「おとめ座」はどれも春の星座になりますので、春の大曲線を見つけることができれば、イコール春の星座を3 つ見つけたことにもなります。

星景写真的に春の大曲線を撮影する場合は「M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 FisheyePRO」が必要になります。星を繋げて作る図形の中でも一際大きいのが春の大曲線のため、まずは北東から東が開けている場所を探し、空高くに昇る前に撮影するよう予め計画をして臨むことが大事です。また、春の大曲線に拘りすぎず、北斗七星とアークトゥルスをテーマに撮ったり、アークトゥルスとスピカの星の色の違いに注目しながら撮影したりなど、色々焦点距離を変えながら撮影してみるのも面白いでしょう。

また、春の大曲線と共に撮影していただきたいのが、今ご紹介したアークトゥルス、スピカに加えて、しし座のレグルスを繋いで作る「春の大三角形」です。三角形というと、夏や冬の三角形がお馴染みですが、春の星空にも三角形を見つけることができます。しし座のレグルスは21 個ある一等星のうちの一つですが、その中でも最も暗いため、空が暗いところでないと見つけることは難しいかもしれません。まず、アークトゥルスとスピカを見つけることができたら、その2 つの星に線を引き、それを底辺として頂点となるところにレグルスがあると仮定をしてじっくり探してみましょう。

ちなみに、春の大曲線を撮影しているタイミングで西の空を見ると、冬に撮るべき被写体でもご紹介した「冬のダイヤモンド」が西の地平線に沈んでいく様子も撮影することができます。こちらも忘れずに撮影するようにしましょう。

写真家北山輝泰がM.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROで撮影した星空の写真1

M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
16mm相当*
Mモード F1.8 10秒 ISO 3200 ±0.0EV

写真家北山輝泰がM.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROで撮影した星空の写真1
写真家北山輝泰がM.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROで撮影した星空の写真2

M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
16mm相当*
Mモード F1.8 5秒 ISO 3200 ±0.0EV

写真家北山輝泰がM.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROで撮影した星空の写真2
写真家北山輝泰がM.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROで撮影した星空の写真3

M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
16mm相当*
Mモード F1.8 10秒 ISO 3200 ±0.0EV

写真家北山輝泰がM.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROで撮影した星空の写真3

夜中は地平線から昇る天の川に注目

春の星座の撮影がひと段落すると、主役が夏の星座へと移り変わっていきます。時刻は深夜0 時以降と少々撮影するのには辛い時間になりますが、星景写真ではお馴染みの被写体である「天の川」が夏の星座を引き連れて昇ってきます。オレンジ色に輝くさそり座の「アンタレス」が高度20 度くらいまで昇ってくると、天の川もはっきりと写すことができるので目安として覚えておきましょう。春は空が霞んでしまうことが多く、また月齢も加味すると撮影チャンスがたくさんあるように思えて、実際にはそう多くありません。貴重な晴れ間を逃さず撮影するようにしましょう。

ちなみに、毎年4 月22 日前後には「こと座流星群」が見頃を迎えます。この頃に天の川を明け方まで撮影していると、こと座より放たれる流星を目にすることができるかもしれません。「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」などの超広角レンズを用いて、かつカメラ内のインターバル撮影機能などを利用しながら撮影をすれば、運がよければ天の川と流星を撮影することができるでしょう。

写真家北山輝泰がM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROで撮影した星空の写真4

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO,
14mm相当※
Mモード F2.8 30秒 ISO 3200 ±0.0EV

写真家北山輝泰がM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROで撮影した星空の写真5

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO,
14mm相当※
Mモード F2.8 30秒 ISO 3200 ±0.0EV

春は芽吹きの季節。地上の被写体にも目を向けよう

春は地上の被写体が彩豊かなもので溢れる美しい季節でもあります。特に桜は私たち日本人にとって最も馴染みのある花ですが、星景写真の被写体としてとても人気があります。私は、桜を撮影する時には半月程度の月明かりがある日に撮影するようにしています。そうすると、桜のピンク色と星空がちょうどいいバランスで撮ることができるためです。ちなみに、新月期には混み合う人気の星景撮影地も、月明かりがある時に行けば人もまばらなため、のんびりと撮影することができます。撮影しやすいロケーションとしては、周囲が開けていてかつ立派な桜の木が一本立っているようなシチュエーションです。「○○県 一本桜」などのキーワードなどで調べてみると、色々な場所の情報を見つけることができます。なお、撮影をされる際は「私有地に入らない」「周りに民家がある場合は静かに撮影を行う」「ゴミは必ず持ち帰る」など、最低限のマナーを守りながら撮影するようにしましょう。

桜以外には、菜の花やチューリップなども被写体に最適です。星景撮影というと空にばかり目がいきがちですが、その季節にしか撮れない風景というのもたくさんありますので、明るいうちにロケハンをして、素敵な風景を探してみてくださいね。

写真家北山輝泰がM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROで撮影した星空の写真6

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO
16mm相当※
Mモード F2.8 15秒 ISO 3200 ±0.0EV

写真家北山輝泰がM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROで撮影した星空の写真7

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO
14mm相当※
Mモード F2.8 30秒 ISO 1600 ±0.0EV

写真家北山輝泰がM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROで撮影した星空の写真8

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
30mm相当※
Mモード F2.8 30秒 ISO 1600 ±0.0EV

写真家北山輝泰がM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROで撮影した星空の写真9

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO
14mm相当※
Mモード F2.8 40秒 ISO 4000 ±0.0EV

まとめ

今回は春ならではの被写体ということで「春の大曲線」「春の大三角形」と、星景写真の被写体では人気の「地平線から昇る天の川」をご紹介しました。暖かくなる季節とはいえ、まだまだ夜は冷え込む時もありますので、撮影で風邪を引かないよう十分注意しましょう。
最後まで記事を読んでいただきありがとうございました!またお会いできる日を楽しみにしています。

※35mm判換算焦点距離

北山 輝泰

北山 輝泰(きたやま てるやす)

1986年東京生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。在学中、授業で天体望遠鏡を 使った撮影を行なったことがきっかけで、宇宙への興味関心が強まる。卒業後、福島 県鮫川村に移住し、村営の天文台で星空のインストラクターをしながら、本格的に天 体写真と星景写真を撮り始める。その後、天体望遠鏡メーカーに就職。2017年に星 景写真家として独立をし、国内、海外問わず、各地で星空の撮影を行っている。また、天文雑誌「星ナビ」のライターとして、定期的に執筆活動も行なっている。オーロラ、皆既月食、皆既日食など様々な天文現象を見て行く中で、この感動をより多くの人と共有していきたいという想いを持ち、2018年に「NIGHT PHOTO TOURS」を立ち上げる。自身が代表を務める傍ら、講師として、夜をテーマにした様々な撮影ワークショップを企画・運営している。

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カメラアイコン記事内で使用した
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