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カメラアイコンPhoto Recipe(フォトレシピ)

写真家菅原貴徳がM.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROで撮影した野鳥の写真

野鳥撮影をはじめよう ~その5 カメラの基本設定(連写とプロキャプチャーモード)~

菅原 貴徳

撮影・解説 : 菅原 貴徳

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2023年1月公開

カメラアイコン記事内で使用した
レンズをご紹介

前回の第4回に引き続き、野鳥撮影におけるカメラ設定について説明します。
※以降の説明ではOM-1 やE-M1X のカメラを例に記載します。

今回注目するのは、「連写設定」についてです。野鳥撮影では、鳥の行動の一連を記録する目的や、ブレ防止などの目的で連写を多用します。また、「プロキャプチャーモード」を活用して、従来難しかったシーンを「狙って」撮影することも可能になります。特性を理解して使い分けられるようになりましょう。

連写モード(ドライブモード)の使い分け

連写モードには、「連写H」「静音連写H」およびOM-1 の「SH1」のように、連写の1枚目のAE/AF で固定になるものと、「連写L」「静音連写L」およびOM-1 の「SH2」のように、連写中もAE/AF が追従するものがあります。AE/AF 固定式の連写を選ぶと、連写速度はより速く設定できますが、飛翔シーンのように鳥の動きを追いかけながら撮影する場合には向きません。野鳥撮影では、AE/AF が追従する設定を選ぶと良いでしょう。

次に、通常の「連写」と、「静音連写」の使い分けです。通常の「連写」では、カメラ内の機械式シャッターが作動するため、1 枚撮影するごとに手に振動が伝わります。
一方の「静音連写」はミラーレスカメラならではの電子的なシャッター機構で、音と振動を生じさせずに撮影することができます。超望遠撮影は、ブレとの戦いだと「その4」の記事内でも書きました。シャッターの作動で生じる僅かな振動も、手ぶれの原因となり得ます。特に、林内や曇天・雨天下での撮影では、シャッタースピードも遅くなりがちなので、影響を受けやすくなります。よりクリアで鮮明な描写を望むときは、「静音連写」を選択すると有利です。連写速度も速く、かつ電池の消費も、「連写」より少なくてすむというメリットもあります。また、鳥たちが音に敏感であることは、鳥たち同士が声を使ったコミュニケーションを重用していることからも想像できます。特に、鳥の距離が近い場合や、静かな環境では、鳥たちも敏感になりますので、より自然な姿を写したいと望むのであれば、静音モードを活用しない手はありません。
野鳥撮影で通常の「連写」を使用した方が良い場面は、小鳥の羽ばたきを近距離で捉えるときや、大型の鳥が翼を振り下ろすシーンなど、ローリングシャッター現象による翼の変形が懸念される場合です。しかし、最新機種ではその影響も改善されてきているので、実際には都度設定を変えるよりも、すべて「静音連写」で撮影した中から影響のないカットを選ぶという方法が実用的です。

OM-1 ユーザーには、SH1 およびSH2 という選択肢もあります。SH1 はAF/AE 固定で最大120 コマ/秒の高速連写が可能、SH2 はAF/AE 追従で最大50 コマ/秒*の高速連写が可能です。いずれもブラックアウトフリーという、連写中もファインダー像が途切れない点が特徴で、鳥の動きを絶えず視認できるので、細部までこだわった飛翔撮影や、特に飛ぶのが早い鳥の撮影に効果を発揮します。ただし、シャッタースピードの下限が決まっているので、林内での探鳥のように、光量の変化が大きい環境では扱いづらいため、飛翔撮影に注力するときの「飛び道具」のようなイメージで使用すると良いでしょう。

*使用レンズ・絞り・シャッター速度・ISO など撮影条件や設定によって連写速度が低下することがあります
*高速連写 SH2 50 コマ設定時の使用可能なレンズは限定されます。対応レンズはOM-1 製品ページをご確認ください

写真家菅原貴徳がM.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 ISで撮影したカワセミの写真

カワセミ

光量の乏しい雨の日に撮影しました。静音連写L を使い、カメラから発生するブレを抑えることで、シャープに写すことができました。

M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 ISMC-14
1120mm相当*
Aモード F9.0 1/30秒 ISO 500 -0.7EV

写真家菅原貴徳がM.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROで撮影したヒドリガモの写真

ヒドリガモ

「静音連写L」は、鳥の動きに合わせてAF が作動し続けてくれるので、このような飛翔シーンにも向いています。

M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
1000mm相当*
Mモード F5.6 1/2000秒 ISO 400 ±0.0EV

写真家菅原貴徳がM.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO で撮影したイソシギの写真

イソシギ

自然公園に設置された観察窓から撮影しました。鳥との距離が近いときは、シャッター音さえも気にされてしまう可能性がありますが、「静音連写L」を使用したことで、こちらの存在を気づかせることなく、餌を探す「自然な様子」を撮影できました。

M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO
600mm相当*
Mモード F4.0 1/1250秒 ISO 320 ±0.0EV

写真家菅原貴徳がM.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROで撮影したコサギの写真

コサギ

だんだんと近づいてくるコサギを、SH2 の高速連写で撮影しました。伸びきった翼を画面に収める上で、ブラックアウトフリーの設定が効果を発揮しました。

M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
1000mm相当*
Mモード F5.6 1/3200秒 ISO 200 ±0.0EV

写真家菅原貴徳がM.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROで撮影したハマシギの写真

ツバメ

ツバメは不意打ちのようなターンを良くするので、飛翔の撮影が難しい鳥です。SH2 のブラックアウトフリーのファインダー像で、細かい動きを見逃さないよう心がけて撮影しました。

M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
800mm相当*
Mモード F4.5 1/3200秒 ISO 1600 ±0.0EV

プロキャプチャーモードの使い方

プロキャプチャーモードは、「時間を遡る」機能です。シャッターを全押しする以前から、一連を記録できるモードです。ほかの連写設定と同様、AF/AEが追従する「ProCap/ProCapSH2」と、固定になる「ProCap SH1」が選択できます。
*OM-1による。E-M1XではProCapL 、ProCapH
ここでは、使用可能なシーンが多く、かつ比較的扱いやすい「ProCap SH1」を用いた「小鳥の飛び立ち」の撮影法について説明します。小鳥が飛び立つ一連の動きはとても素早く、かつ小さい動きであるため、瞬時に反応してシャッターを押し込むのは至難の技と言えます。しかし、プロキャプチャーモードを使用すれば、時間を遡って画像を記録できるため、飛び立つ瞬間を狙って撮影できるのです。

事前に設定しておくのは、「連写速度」と「プリ連写枚数」です。例えば、連写速度を25 コマ/秒、プリ連写枚数を50 コマに設定すれば、シャッターを全押ししてから2 秒前までの写真を、遡って記録してくれます。連写速度が120 コマ/秒、プリ連写枚数が50 コマの場合は約0.4 秒遡ることができます。小鳥が飛び立つシーンであれば、連写速度を上げるほど、細かい羽の動きを記録できますが、遡れる秒数が短ければ短いほど、鳥が飛び立ってからシャッターを全押しするまでに、短い時間で反応する必要があります。ご自身の反応できる速度に応じて、決めると良いでしょう。
露出モードについては、「その4」で解説した通り、S モードとの併用が使いやすいでしょう。シャッタースピードを1/3200 より速い値に設定し、ISO オートと組み合わせてください。
鳥をファインダーで捉えてピントを合わせ、シャッターを半押しにして、画面に緑の画像取り込み中のアイコンが表示されるのを確認してください。あとは、鳥が飛び立ったと思ったら、たとえ画面から鳥が消えていても、諦めずにシャッターを全押しします。すると、シャッターを全押しにした瞬間から遡ってSD カードに画像が記録され、うまくシャッタータイミングが合っていれば、飛び立つ瞬間が撮れていることでしょう。

写真家菅原貴徳がM.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROで撮影したセグロセキレイの写真

セグロセキレイ

小石から飛び立つ瞬間を撮影しました。連写速度は60 コマ/秒、プリ連写枚数は35 枚に設定したので、約0.58 秒分、遡っています。

M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
800mm相当*
Mモード F4.5 1/3200秒 ISO 1000 ±0.0EV

記録された画像を見ると、飛び立つ前のシーンも写っています。

シャッターを全押ししたのは、鳥が画面から消えてしまった後です。

万能性の高い「静音連写L」

以上のような理由で、もっとも万能なのが「静音連写L」と言えるでしょう。まずは「静音連写L」を基本として使用しながら、困ったときには別の設定で解決するという流れが理想です。各設定の特性を理解しておきましょう。

*35mm判換算焦点距離

写真家 菅原 貴徳

写真家 菅原 貴徳(すがわら たかのり)

1990年、東京都生まれ。幼い頃から生き物に興味を持ち、11歳で野鳥観察をはじめる。東京海洋大学、ノルウェー留学で海洋学を、名古屋大学大学院で海鳥の生態を学んだ後、写真家に。様々な景色に調和した鳥たちの暮らしを追って、国内外を旅する。近著に写真集『木々と見る夢』 (青菁社)、『散歩道の図鑑 あした出会える野鳥100』(山と渓谷社、写真担当)、『図解でわかる野鳥撮影入門』(玄光社)などがある。日本自然科学写真協会(SSP)会員。

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カメラアイコン記事内で使用した
レンズをご紹介

野鳥撮影のマナー

野鳥撮影時の注意点

  1. 撮影のために餌付けなどの環境の改変をしたり、録音した野鳥の声を流して誘引することはやめましょう。
    野鳥たちの自然な行動や生活を妨げてしまいます。
  2. 営巣中の野鳥たちはとても敏感です。
    大勢で巣を囲むことや、巣やひな、巣立ち直後の幼鳥などの写真の撮影・公開は控えましょう。
  3. 撮影地周辺の住民や、他の公園利用者への気遣いも忘れないようにしましょう。
  4. 撮影地の情報の取り扱いは慎重に行いましょう。特に巣やねぐらのように、逃げ場がない状況では注意が必要です。
    (画像に付加されたGPS情報は、OM Workspace で現像時に削除することが可能です。)
  5. 野鳥たちは自然の中で暮らす生き物です。彼らの生活を邪魔しないよう、ゆとりをもって撮影しましょう。
    また、双眼鏡などを使ってよく観察することが、よりよい撮影に繋がります。
  6. 野鳥撮影でフラッシュを使用すると、野鳥たちを驚かせてしまいます。
    暗い場所では、フラッシュ使用を避けて、ISO感度を上げて撮影しましょう。

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