OM-D E-M1 Mark IIと作る!鉄道写真新時代

スーパーな性能を誇るPROレンズ群

E-M1 Mark IIを筆頭に「小粒でピリリと辛い」を通り超えて「ピリリでズバッと突き刺さる」現行OM-D。つい数多い機材の特徴に目を奪われて、その面ばかりを語ってしまいがちになる。しかし当然カメラ本体がどんなに優秀であっても、レンズが優秀でなければ「敢えて手を出す」意味合いは相当損なわれてしまう。

ここでは70-200mmの望遠ズームに焦点を当てて検証してみたい。なぜならこの画角は最激戦帯、各メーカーとも最大に力を入れた商品を投入しているホットゾーンだからだ。さらには代表的な鉄のスタンダードレンズ。比較するのには最もシビアな領域である。
OM-Dで該当するのはM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO(換算80-300mm)、1本勝負。小型・軽量・F2.8…もさることながら、「このレンズを使いたくてOM-Dに手を出した」という鉄は多い。それくらいに素晴らしいレンズだ。

標準的な撮影場面では、各社エース級がひしめいている領域、いくらM.ZUIKOのプロレンズだからといって格別大きなアドバンテージはない。その差が大きく出るのは、強い光源が画面の中に現れるシチュエーションだ。

今まで使っていたレンズ。「鳥」「ポートレート」「スポーツ」にはいいレンズだったのに…と臍を噛む記憶が多いのは、鉄道写真にはこれらには決して存在しない「ヘッドライト」があるからだ。暗い場所からどんどんと迫ってくる強い点光源。鉄道撮影にはごく普通の場面でも、レンズには過酷な、苦手な場面である。決めた…と手ごたえあった渾身のショットの、妙な場所に思いもがけず現れた憎きゴースト、フレア。今まで幾度となく涙を呑んだ苦い思い出は、きっと多くの方もおありだろう。

「ズームだから仕方のないことなのだ」。
自分を泣く泣く納得させていた場面の多くは、このレンズで実は決して「仕方のない」ものではなかったと知る。

加えてE-M1 Mark IIでは、撮像センサー上の保護ガラスにAR(反射防止コート)が新たに施された。このコンビで耐性は一段と強化されている。太陽の光を効果的に生かす「アマテラスな写真」にも、さらに無敵なレンズになるだろう。

値段3割引、重量3割引、性能3割増。
これが今まで使っていた他社レンズと比較した、私の実感だ。

夜間撮影作例比較

他社フレア例

どんな画像処理ソフトを使っても救済不可能なゴースト・フレア…。Magicなのではないかと目を疑うほどの優秀さ。もちろんすべてではないが、相当の割合の「涙の記憶」は過去語りになるだろう。
※作例はE-M5 Mark IIで撮影

アマテラス作例比較

他社フレア例

朝日夕日の太陽光線を生かしたカットを「アマテラスな鉄」と呼んでいる。こんな環境では、たとえ小さくても車両にかかるゴーストは致命的だ。従来作例はボンネット部分に出ている。落胆も大きい。光線にこだわればこだわるほど、OM-DとPROレンズは手放せなくなってくる。