中野耕志OM-Dと旅する世界の野鳥

OM-Dシステムの機動力を生かして、写真家・中野耕志が世界を旅しながら野鳥撮影を楽しむ本企画「OM-Dと旅する世界の野鳥」。
計4回にわたって作品を紹介してまいります。中野耕志が撮る世界の野鳥をお楽しみください。

第四回 アメリカ

ここでは多くのカナダヅルも越冬している。カナダヅルは全長1mのやや小型のツルで、カナダやアラスカ、アメリカ北部で繁殖し、冬期は暖かい地域に渡る。日本でも少数が渡来する。

夜が明ける直前、残月をバックに餌場へと向かうカナダヅル。つがいや家族ごとなど、小群で移動する。

OM-Dでの撮影スタイルは基本的に手持ち撮影。300mm F4.0 PRO + MC-14を組み合わせるとフルサイズ換算840mm F5.6相当の超望遠撮影が出来るにもかかわらず、軽量コンパクトなシステムと強力な手ぶれ補正能力のおかげで、手持ち撮影時も安定した結果を出すことができる。
OM-Dの手ぶれ補正能力を超える低速シャッター撮影時やビデオ撮影時は三脚も使う。

E-M1XではC-AFでの動体捕捉力が向上し、とくに飛翔撮影時のAF合焦率が飛躍的に向上している。E-M1XとE-M1 Mark IIIではボディ背面にマルチセレクターが採用されているため、カメラを構えた状態での測距点選択も容易だ。

夕暮れ時、塒(ねぐら)に戻ってきたカナダヅル。鳥のシルエットがしっかりと判別できるよう、背景の闇と重ならない場所を探して撮影した。OM-Dならこのような薄暗いシーンでも手ぶれの心配なく手持ち撮影できる。

今回訪れた撮影地ではレンタカーの車窓から撮影することも多かった。野鳥は車両に対する警戒心が比較的薄いので、車両を移動式ハイドとして利用するというわけだ。野生生物保護区内のドライブルートをゆっくりと流しながら野鳥を探し、被写体を発見したら路肩に車を静かに止め、窓枠に超望遠レンズを載せて半手持ち撮影を行う。撮影窓と被写体の位置関係から、ときには無理な体勢で機材を保持することも多く、軽い機材でないと安定したフレーミングすらままならない。そんなときは小型軽量な超望遠システムが組めるOM-Dシステムが最適なのである。助手席に300mm F4.0 PROとMC-14を組み合わせたE-M1Xを置き、そっと車窓からレンズを出して撮影する。こんなことをひと朝に何度も繰り返すのだが、OM-Dなら体力的な負担も少なく、かつ確実に野鳥の姿を記録できるのだ。

鳥が来そうなところにあらかじめ車を止めておき、車内で静かに待っていると藪からシチメンチョウの群れがゾロゾロと出てきた。

こちらはズアカカンムリウズラ。頭の上の飾り羽がチャームポイントだ。臆病な彼らは物音がするとすぐ木の陰に隠れてしまうので、E-M1Xの静音シャッターで静かに撮影した。

水場には多くのミヤマシトドが水飲みや水浴びにやってきていた。鳥たちにとって、羽毛は生きていくために重要なもの。頻繁に手入れをして保温性や撥水性、そして飛翔能力を保てるようベストコンディションを維持する必要がある。ゆえに水場ではじつに多くの野鳥を観察できるというわけだ。

トカゲをくわえて現れたオオミチバシリ。英名はGreater Roadrunnerで、名前の通り道を歩いている姿をよく見かける。全長約60cmにもなる大きな鳥だ。