野鳥撮影に革命をもたらす!
手持ちで撮れる600mmレンズフィールドレポート Vol.3
~ドットサイト照準器の活用で高まる捕捉力~

超望遠レンズで飛んでいる野鳥の姿を追う撮影は慣れないうちは難しいもの。そんなとき、ドットサイト照準器があれば、被写体をファインダーの視野に収める苦労が大幅に緩和される。Vol.3では、「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」を使いこなすうえで、必携というべきアイテムの「ドットサイト照準器 EE-1」を使った超望遠撮影を中心にレポートします。

1.600mmで動く被写体を追うのに照準器は不可欠

レンズの焦点距離が長くなり、画角が狭くなるほど、被写体を画面に収めることが難しくなる。慣れないうちはEVF(液晶ビューファインダー)を覗いても、レンズがどこを向いているのか、わからなくなることがある。そんなときに便利なアイテムが「ドットサイト照準器 EE-1」。照準器のスクリーンに表示されるターゲットマーク(照準)の位置をレンズの光軸が向いている方向と予め合わせておけば、照準器のターゲットマークを被写体に重ねるだけで被写体が画面中央に収まるのだ。

照準器のスクリーンはハーフミラーとなっており、赤いLEDによるターゲットマークはスクリーン越しの中空に表示される。ドットサイトを覗く角度が上下左右にずれたり、視点が前後に動いたりしても照準の向く方向は変化しない仕組みになっており、ラフに覗いてもレンズの光軸が向いている方向を確認できる。

このドットサイト照準器 EE-1があれば、600mm相当(35mm判換算)にもなる「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」で遠くの被写体を撮る際にフレーミングしやすくなる。より焦点距離が長くなる「M.ZUIKO DIGITAL 1.4× Teleconverter MC-14」使用時(35mm判換算で840mm相当)であればなおさらのこと。木の枝などにとまっている野鳥を狙うときはもちろん、飛んでいる鳥の姿を追いながら撮影する場合にも威力を発揮する。

ドットサイト照準器 EE-1はカメラのホットシュー(またはアクセサリーシュー)に取り付ける構造になっており、OM-DシリーズやPEN-Fに直接取り付けることができる。三脚を使って撮影する場合は、EE-1をホットシューに取り付ければいいが、飛んでいる野鳥を手持ち撮影するときは、ひと工夫したい。アクセサリーメーカー、エツミの「E-6673ドットサイトブラケット」を下の写真のようにOM-D E-M1やE-M5 Mark IIの底部に三脚ネジ穴を使って固定し、台座のアクセサリーシューにドットサイト照準器 EE-1を載せる。すると、EE−1とEVFの高さがほぼ揃い、左目でEE-1を覗き、右目でEVFを覗く「両眼視」という手法が使えるようになる。

「両眼視」はドットサイト照準器を左目で覗き、そのターゲットマークを被写体に重ねることで画面に収め、EVFを覗く右目でフレーミングとピント合わせを行い、シャッターを切るタイミングを計ることで「両眼」が役割を分担して撮影する手法をいう。飛んでいる野鳥を左目で見つけたら、ドットサイト照準器のターゲットマークと重ね、画面に収まった野鳥を右目で確認しながら撮ることで、素早く被写体を捉えることが可能。この両眼視を使えば、不規則な動きをする野鳥の姿、飛行速度の速い鳥も捉えやすくなり、撮影に成功する確率もずっと高くなるだろう。

このドットサイト照準器 EE-1の赤いターゲットマークは明るさの調節ができ、電源にはコイン型のリチウム電池CR2032が使われている。また、スクリーン部分が開閉式になっており、未使用時はコンパクトになる。防滴に配慮した設計になっており、小雨程度であれば、問題なく使える点もうれしい。なお、このLED光は被写体に届くわけではないので、野鳥にストレスを与えることはなく、安心して使える。

写真はアクセサリーメーカーのオプションパーツを使って「ドットサイト照準器 EE-1」をOM-D E-M1の脇に固定した様子。この位置にドットサイト照準器を取り付けると、左目でドットサイト照準器を見ながら、右目でファインダーを覗く「両眼視」が可能になり、飛んでいる野鳥も捉えやすくなる。

飛んでくるカモメを左目で覗くドットサイト照準器 EE-1で捉え、右目でEVF(液晶ビューファインダー)を確認しながら、C-AFで撮影。撮影距離が短いと被写体深度が浅くなるため、F8まで絞ったが、奥の左の翼や尾羽はぼけてしまった。

複数のカモメが旋回を繰り返す様子をC-AF+連写Hで撮影。両眼視では、ドットサイト照準器を覗く左目で周囲の鳥の動きもわかるので、複数の鳥を画面に収めるときもシャッターチャンスをつかみやすくなる。

バリ島のバードパークで園内を飛行するシワコブサイチョウをC-AFで撮影。撮影距離が近く、動きが速いのでカメラで追うのに苦労したが、ドットサイト照準器のおかげでサイチョウの姿を見失わなかった。

ドットサイト照準器 EE-1

ドットサイト照準器 EE-1の視界。前方のスクリーンに赤いターゲットマーク(「○」に「+」を組み合わせたもの)が表示され、このマークを被写体に重ねると、カメラの画面中央にその被写体が収まるという仕組み。

ドットサイト照準器 EE-1の大きな特長が開閉式の本体構造。未使用時は照準を映すスクリーンが折りたたまれて携帯性がよくなる。収納時だけでなく、使用時も防滴に配慮された構造になっている。

ドットサイト照準器 EE-1の側面にある1.はターゲットマークの明るさ調整ダイヤル。1〜5の5段階に調整でき、OFFにすると電源が切れる。なお、電源にはボタン型電池(CR2032を1個)を使用する。

EE-1の後部。2.は収納状態からドットサイトを開くためのポップアップスイッチ。3.は横(左右)方向の照準器調整ダイヤル、4.は縦(上下)方向の照準器調整ダイヤル。

ドットサイトとEVFを同時に覗いて被写体を捉える

アクセサリーメーカーのエツミ製 E-6673 ドットサイトブラケットの台座にドットサイト照準器 EE-1を載せ、プレートのもう一方をOM-D E-M1底部の三脚ネジ穴を使って固定する。このように組み合わせると、右目でEVF(液晶ビューファインダー)を覗きながら、同時に左目でドットサイトを覗くことができる。