野鳥撮影に革命をもたらす!
手持ちで撮れる600mmレンズフィールドレポート Vol.3
~ドットサイト照準器の活用で高まる捕捉力~

2.C-AF撮影時は「グループターゲット」が効果的

飛んでいる野鳥を撮る場合、AF方式は「C-AF(コンティニュアスAF)」を使用する。C-AFはシャッターボタンを半押ししている間、ピント合わせを繰り返すフォーカスモードで、AFターゲットを被写体にしっかりと重ねておけば、被写体との距離が変化してもピントは常に合い続ける。このC-AFを使った動体撮影はOM-Dシリーズ、PEN-Fなどに搭載される「FAST AF」でも可能だが、「DUAL FAST AF」を搭載したOM-D E-M1であれば、さらにAFの追従性能が高くなる。

このC-AF撮影では、AFターゲット(測距エリア)の選択も重要。被写体が静止していれば、任意の1点にピントを合わせる「シングルターゲット」や「スモールターゲット」を使うのだが、動いている被写体に「シングルターゲット」を使うと、AFターゲットが被写体から外れやすく、C-AFでピントを合わせ続けるのは難しい。また、81点のAFターゲットすべてを使う「オールターゲット」もあるが、被写体の動き方や背景によっては意図した部分にピントが合わないこともある。このことから、動きまわる野鳥を撮るときは、もう1つの「グループターゲット」を使うようにしたい。「グループターゲット」は、9点(3×3点の長方形のエリア)で被写体を捉えようというAFターゲット設定。グループターゲットの位置を任意に選ぶと、9点のAFターゲットが連携して被写体にピントを合わせ続ける設定で、C-AFの追従性を高く保つことができる。

なお、OM-D E-M1の「DUAL FAST AF」は、他のOM-DシリーズやPEN-Fなどと同じ「81点 コントラストAF」に加え、独自に「37点 像面位相差AF」を搭載している。「像面位相差AF」は、AF一眼レフカメラに使われている位相差AFに似た機能(ピントがズレている方向とズレ量を瞬時に判断する)を撮像センサーの画素の一部に持たせたもの。これは本来、位相差AF用につくられたフォーサーズレンズの合焦速度を上げるために導入されたものだが、マイクロフォーサーズレンズ使用時にはC-AFの合焦速度と精度を高めることにも寄与する。「S-AF」撮影時は「コントラストAF」のみが使われるが、「C-AF」と「追尾AF(C-AF+TR)」で撮るときは、37点の像面位相差AFエリア内では「像面位相差AF」が働き、このAFエリア外では「コントラストAF」に切り替わる。OM-D E-M1でC-AF撮影を行う場合は、37点の像面位相差AFエリア内のAFターゲットを選ぶことが、AF精度を高めるポイントになる。

9つの測距点で被写体を捉える「グループターゲット」

最新のOM-Dシリーズ、PENシリーズのAFターゲット(測距点)は9×9の81点。この中から隣接する9点(写真の緑枠)を任意に選択し、1つの測距エリアとして被写体を捉えるのが「グループターゲット」。C-AF撮影では、任意の1点を使う「シングルターゲット」よりも、動く被写体を確実に追うことができる。(写真はイメージ)

焦点距離が長くなり、画角が狭くなるほど、画面いっぱい大きく撮ろうとするほど、飛んでいる鳥にAFターゲットを合わせ続けるのは難しくなる。そんなときもドットサイト照準器の中央に鳥の姿を捉え続けられれば、飛翔する鳥にしっかりとピントを合わせることができる。

長い翼を大きく広げ、池の上空を旋回するミサゴ。AFターゲットは「グループターゲット」を選び、画面中央にAFターゲットのエリアを合わせる。C-AFでピントを合わせながら連写した中から、翼の形が美しいものを選んだ。

池に急降下し、捉えた魚を両足でがっちり掴み、飛び立とうとした瞬間を至近距離で捉えた。AFターゲットを顔の付近に向け、シャッターボタンを押し込んだ。AFは瞬時に合い、絶好の瞬間を捉えることができた。

落ち着いて食事のできる場所へ、獲物をつかんだまま飛んでいくミサゴを連写した。OM-D E-M1はAFを追従させたまま、最高約9コマ/秒で高速連写できるので、貴重なシャッターチャンスも逃さない。

AFターゲット選択は「グループターゲット」を選ぶ

カメラ背面の十字ボタン(上下左右のいずれか)、またはFn1ボタンを押すと、AFターゲットの選択画面が表示される。このときINFOボタンを押し、十字ボタンの上、または下を押すと、AFターゲットのサイズが、「オールターゲット」←→「シングルターゲット」←→「スモールターゲット」←→「グループターゲット」(写真)の順に切り替わる。

「スーパーコンパネ」でも設定可能

撮影に関する主な機能は「スーパーコンパネ」で設定できる。写真の緑色に反転表示している部分は「AFターゲット選択」、その右の「C-AF」と表示されている部分は「AF方式」の選択表示。なお、「連写」、「手ぶれ補正」のモード設定も、この画面から行える。

C-AF撮影時は「S-IS AUTO」を使う

「5軸シンクロ手ぶれ補正」が働く、OM-D E-M1、E-M5 Mark II、PEN-F使用時は、カメラ側で「S-IS2(縦手ぶれ補正)」、「S-IS3(横手ぶれ補正)」に設定しても「S-IS AUTO」として機能する。そのため、被写体を追いながら撮影するC-AF撮影時は「S-IS AUTO」、「S-IS2」、「S-IS3」のいずれに設定してあっても、カメラが流し撮りの方向を検知して、最適な手ぶれ補正が行われる。なお、「S-IS1(全方向手ぶれ補正)」設定時のみ、「S-IS1」として機能する。

像面位相差AFが働くOM-D E-M1

OM-D E-M1は、像面位相差AFが可能な独自の撮像センサーを搭載しており、C-AFの追従性が他のモデルよりも高い。

像面位相差AFが働く37点のAFターゲット

OM-D E-M1は「コントラストAF」と「像面位相差AF」を併用する「DUAL FAST AF」を搭載。マイクロフォーサーズレンズ装着時は基本的に「コントラストAF」が使われるが、C-AF撮影時は37点のAFターゲット(写真)のエリア内では「像面位相差AF」が働き、それ以外のAFターゲットでは「コントラストAF」が機能する。