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海野和男 タイ撮影記
タイのゲンカチャン国立公園でチョウの集団吸水を撮る
使用カメラ STYLUS TG-3 Tough

自然写真家
海野和男

プロフィール

昆虫を中心とする自然写真家、海野和男氏が乾期のタイを訪れた。アジアやアメリカの熱帯雨林地域で昆虫の擬態を長年撮影してきた海野氏、今回「STYLUS TG-3 Tough」を使用してタイのゲンカチャン国立公園でチョウの集団吸水を撮影する。
砂地にカメラを沈めての撮影など、小型軽量で頑丈なTG-3だからこそ可能なことについて海野氏に語ってもらった。

STYLUS TG-3 Tough

STYLUS TG-3 Tough

> 詳細

何度も訪れていたタイ。当時の撮影は全てフィルムカメラだった。

30年ほど前には何度もタイを訪れていた。当時使っていたカメラはOM2などのフィルムカメラだ。1回の旅行は大体1ヶ月ぐらいで、フイルムを100本あまり持って行った。撮影できる日が20日として、一日5本を目安にしていた。5本と言えば180枚。チョウの飛翔など狙うと、あっという間に無くなってしまう。現像代も入れるとフイルムは1本が1,500円以上もしたから、気楽にシャッターを押すわけにもいかない。熱に弱いフイルムを劣化させないよう、移動する時も置き場所などに注意しなければならなかった。1979年に35mmレンズ搭載のオリンパスXAというコンパクトカメラが出たけれど最短撮影距離が85cmで、昆虫撮影には適していなかったから撮影は全て一眼レフだ。

  • 現在も海野和男氏が所有されているXA。

  • パイナップル畑の向こうに国立公園の山並みが見えてきた。3月のタイは乾期の終わり。今年は雨がとても少ないそうで、山はやっと芽吹きがはじまった状態。まるで早春の景色だが、気温は30度ぐらいある。

TG-2、その驚きの接写能力。およそ5mmの被写体を画面いっぱいに。

オリンパスは昔からマクロ撮影の機材には力を入れてくれていた。伸び縮みする接写リングに接写専用の20mm、38mm、80mm、135mmがあり、その4本の組み合わせでオートで無限遠から8倍ぐらいまでの撮影ができた。それまでは高倍率撮影はベローズが必要であったから、ずいぶん軽快になったものだと感激した。

それが今ではどうだろうか、昨年TG-2を使って、その接写能力に驚いた。スーパーマクロモードではマクロレンズで撮るより大きく写る。光学ズームでおよそ5mmの被写体を画面いっぱいに写せるのだから感激した。カメラ単体で35mmフイルム換算何と7倍の撮影ができたのだ。デジタルズームを使えばさらに倍率が上がる。ちょうどOMシリーズに接写システムの組み合わせで撮影できた被写体に、カメラ単体で全て対応できるカメラは、多分TG-2が最初だろう。

STYLUS TG-2 Tough

STYLUS TG-2 Tough

さらに進化したTG-3では、今まであり得なかった撮影が可能。

そのTG-2がさらに進化してTG-3になった。スーパーマクロはさらに進化した顕微鏡モードになった。その中にもいろいろなモードがある。深度合成モード(テントウムシマーク)を試すと最初にピントを合わせた場所の前後をカメラがフォーカスを変えて撮影して1枚の写真にしてくれる。小さな被写体はピントの合う範囲がとても狭い。ピントの深いコンパクトデジタルカメラでも、隅々にピントを合わせた写真は撮れなかったのが、この機能でシャープに撮ることができるようになった。

カメラをしっかりホールドすれば野外でカメラを手持ちでの撮影も可能なのには驚いた。画素数がちょっと減ってしまうのは、たぶん少しカメラがぶれることを考えて、周辺をカットしているためかなと思う。撮影には1秒以上はかかるので、被写体の虫が動けば撮影ができないのはしかたない。けれどじっとしている甲虫などなら、今まであり得なかった撮影が可能なのだ。

STYLUS TG-3 Tough

STYLUS TG-3 Tough

  • 通常マクロ撮影

  • 深度合成マクロ

大きさが8mmぐらいの小型のゾウムシの仲間を手持ちで深度合成モードで撮影。手持ちなのでカメラはちょっとぶれていると思うが、カメラがうまく合成してくれた。

小さなラフレシアと遭遇。TG-3だけで撮影が完結できた。

今回のタイでの撮影のメインはチョウの集団吸水。昨年夏にタイを訪れた時、吸水の撮影なら3月か4月と、長くタイで撮影されている方に教えて頂き、次回は是非ベストシーズンに撮影に来たいと思った。

バンコクから車で3時間ほどでゲンカチャン国立公園(Kaeng Krachan 国立公園)に着く。3月のタイは乾期の終わりで、葉を落としている木も多くちょっと不安になるが、乾燥した時期だからこそ、チョウが水を飲みに多数集まるのだろう。けれど今年はチョウが少ないという。気候が少しおかしいようで、バンコクでも正月頃には20度を割る日が続いたらしい。今年は東京でも大雪があったりと、世界的な気候変動が気になるところだ。

国立公園に入ると、ラフレシアの仲間が先週咲いていたとのこと。ラフレシアは世界一大きな花で、直径が1mにもなる。けれどここのラフレシアはとても小さいという。直径が10cmほどしかないが、蕾も花の形も紛れもないラフレシアだ。2日目のことだ、かすかにかいだことのある匂いがする。ラフレシアはにおいをだし、ハエを呼んで受粉させる。けれど、匂いはそれほど強いものではない。花のところに行くとハエがやってきた。花の中に潜って姿が見えなくなった。しばらくして出てきたハエの背中にはべっとりとした花粉らしきものが付いていた。ハエが姿を消したところは、すだれのようになっていて、そこに潜り込むと出て来る時に花粉が付く仕組みになっているようだ。こんな不思議な光景を見ることができたことに感激する。TG-3にテレコンバーター TCON-T01を付け内蔵フラッシュで撮影した。なかなかの写りで、結局ラフレシアはTG-3だけで完結できた。

  • ラフレシア科のSapria ram は森の中に咲いていた。花は開いても直径10cmぐらいしかない。写真のようにあまり開かないものも多い。

  • 花の中に潜り込んで出てきたハエの背中には黄色っぽい花粉がべたりとついていた。

小型軽量・頑丈・防水を誇るTG-3だから、チョウの撮影にはもってこい。

さて、いよいよチョウの集団吸水の撮影だ。少ないとはいえ、川岸ではたくさんのチョウが地面に降りて水を飲んでいた。ぼくが好きな撮影スタイルはチョウの目線での撮影。吸水しているチョウなら、カメラを地上におきチョウのいるアングルから狙いたい。TG-3は15mまでの水深に耐える防水機能があるし、落としても壊れないほどタフなカメラだから、こうした撮影にはもってこいだ。

もっと広角で撮りたいと思ったので、フィッシュアイコンバーター FCON-T01を付ける。このレンズを付ければ画角が広がり、ぼくが好む一眼レフで、魚眼にテレコンを付けたような写真が撮れる。砂地をちょっと掘って、カメラを1/3ぐらい沈めた。こんなことは大きなカメラでやったら大変だ。小型軽量、頑丈、防水を誇るTG-3だから可能なことである。

  • 河原ではたくさんのチョウが吸水していた。飛んでいるのはキシタシロチョウ。吸水に集まる蝶はほとんどがオスだ。

  • メスシロキチョウのオスやアリステウスオナガタイマイ(左上の飛んでいる蝶)などのアゲハチョウの仲間も多かった。

今回のフォトグラファー

海野和男(うんの かずお)

1947年、東京で生まれる。昆虫を中心とする自然写真家。テレビ番組など幅広い活躍でも知られる。日本自然科学写真協会会長。
海野和男のデジタル昆虫記 http://eco.goo.ne.jp/nature/unno/