M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3と出掛ける旅写真のコツ

PEN-Fに高倍率ズームレンズのM.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3をつけて香港へ旅立った。広角から超望遠までカバーしてくれるため、旅で出会った被写体をこの1本で切り取ることができる。35mm版換算400mm相当の超望遠撮影ができるとは思えないほど小型軽量で旅にぴったりなレンズだ。ここではこのレンズの魅力と1本のレンズで旅写真を楽しむコツをご紹介します。
(写真家 コムロミホ)

PEN-FM.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3をつけて香港へ訪れた。香港は日本から4、5時間で行けるため、気軽に楽しめる海外旅行スポットの一つだ。飛行機から降りると、一気に湿気と熱気に包まれて、香港独特の空気感を味わうことができる。世界有数の人口密度が織り成すエネルギッシュな街並みは何度訪れても圧巻。フェリーやトラム、地下鉄、タクシーなど交通手段が充実しているため、2泊3日あれば十分に楽しめるだろう。そして、何よりもご飯が美味しい。ここではレンズの魅力と共に香港の楽しみ方も一緒にご紹介したい。

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3は35mm版換算で24mmから400mm相当の撮影が可能な高倍率ズームレンズだ。1本で広角から超望遠をカバーできるため、旅先でこの1本あれば何でも撮れると言っても過言ではないだろう。レンズ本体の重さは455gと小型軽量で、持ち運びもしやすく、荷物を最小限にしたい登山などでも重宝する。防塵・防滴のため、ロケーションを選ばないのも嬉しい。旅に持っていくレンズのおすすめは?と聞かれたら、このレンズを一番におすすめしたい。

まずは12mmと200mmの写り方の違いをご紹介したい。左側が広角端の12mm、右側が望遠端の200mmで撮影したもの。12mm側は空や海が広く写り、200mm側はフェリーの先端だけを切り取ることができた。旅先にはいろんな被写体があるため、1本でここまでズームできるのは頼もしい。被写体に合わせて焦点距離を変更すれば、さまざまな表現を楽しめる。

ちなみに九龍と香港島を結ぶこのスターフェリーは大人片道で2.7香港ドル(約38円程度)、乗船時間は6、7分。乗船中は九龍と香港島の岸を一望することができ、夜には香港の夜景を水上から堪能できる。数十円で楽しめる贅沢な時間だ。ここから眺める香港が好きで、香港に訪れるときは必ずスターフェリーを利用したくなる。

写真はスローシャッターに設定し、夜景が反射する波をぶらして滑らかに表現した。激しく揺れる船内だが、ボディー内手ブレ補正のおかげでブレずに撮影できる。

ズームレンズを使用するときは、被写体が写る大きさを変更するためにズームするだけでなく、広角と望遠の特性を活かしながら焦点距離を決めるようにしたい。

広角側を使用するときは風景や街並みを広く切り取りたい時だけでなく、遠近感を活かしたい時にも使用できる。被写体に近づくほど、近づいた部分が大きく写り、それ以外が小さく写るため、遠近感を強調することができる。下の写真は広角側の12mmにして、少し下から猫の口辺りにぐっと近づいて撮影した。そうすることで、猫の存在感が際立ち、身を乗り出してこちらを覗き込んでいる雰囲気に仕上げることができた。

また広角側は被写体に近づいても背景が広く写るため、主被写体だけでなく、背景をどうまとめるのかを考えながら構図を決定するとバランスが安定しやすい。マカオ名物のエックタルトだけでなく、香港の雰囲気も伝わりやすいように12mmで撮影。このエッグタルトは約100円くらいで購入することができ、卵の素朴な味と滑らかな口触りが何とも言えない逸品。ぜひ見つけたらチャレンジしてもらいたい。

望遠側は遠くのものを大きく写せるだけでなく、圧縮効果を活かした時にも使用できる。圧縮効果とは近くのものも遠くのものも大きさの違いがなくなり、距離感が短くなったように写ることをいう。フェリーから遠く離れているはずのビル群がすぐ後ろにあるように写るため、1枚の写真に情報を凝縮することができる。35mm版換算400mm相当の圧縮効果は写真に迫力が出る。

そして、望遠になるほど、被写界深度が浅くなるため、ボケを活かした撮影を楽しめるのも特徴だ。下の写真は望遠端の200mmに設定し、手前の被写体にぐっと近づいて撮影した。際立てたい被写体にピントを合わせて背景をぼかせば、より主題が明確になりやすくなる。