M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3と出掛ける旅写真のコツ

次に被写体の写り方だけでなく、焦点距離による背景の写り方にも注目したい。下の写真は被写体は同じ大きさに写るようにしながら、左は23mm、右は87mmで撮影をした。左はメインの被写体だけでなく、背景の建物も写し込むことができ、右の写真は写る範囲が少なくなり、背景を整理することができた。ズームするときは被写体が写る大きさだけでなく、背景の写り込む範囲も確認しながら焦点距離を決めるようにするとイメージが作り込みやすい。

また、このレンズの魅力は最短撮影距離が短い点だ。広角側の最短撮影距離は22cmで、レンズ先端約10cmまで被写体に近づくことができ、望遠撮影時は最大撮影倍率0.46倍のクローズアップ撮影が可能。下の写真は望遠側で最短撮影距離ギリギリまで植物に近づき、手前に咲いていたオレンジ色の花を前ボケにして、奥行き感を出した。

そのおかげで旅の醍醐味でもある現地の食べ物も気軽に撮影することができる。料理を撮るコツは美味しそうな部分にぐっと寄って撮影すること。撮影する角度をこだわりながらシズル感ある料理写真を撮ってみよう。左は香港に行くと必ず食べる四川料理。麻辣が効いていて、すごく辛く痺れるが、とにかくクセになる。そして、そのあとのスイーツも欠かせない。マンゴータピオカとホットの小豆ぜんざいで辛さを癒すのが定番のコース。

香港での撮影で一番楽しいのが市場のスナップ。今回はアートフィルターのラフモノクロームIIを使用し、重厚感のあるモノクロで活気のある市場の雰囲気を表現した。どちらの写真も50mmで撮影。中望遠にすれば、少し離れたところからでも人物を程よい大きく写せるので、自然な表情を残すことができる。カメラを意識させないことで、その場のドラマをそのまま切り取れる。

そして、夜になると人が少なくなり、活気のあった市場が一変する。暖色の光に照らされた市場の雰囲気を出すために、ホワイトバランスは日陰に設定。暖かみのある設定にすることで、よりドラマチックに表現することができる。開放F値は広角端でF3.5、望遠端でF6.3だが、ボディー内手ぶれ補正のおかげで暗所での撮影も三脚を使用せずに身軽に楽しめるのが嬉しい。

高倍率ズームは画質があまり良くないと思われがちだが、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3は描写力の高さも魅力だ。左側は漁村の鯉魚門(レイユームン)、右側は香港島の中環(セントラル)で撮影。長年使われている船のディテールや100万ドルの夜景の光の一つ一つを細かく解像してくれるため、目で感じた感動をそのまま写真に表現することができる。

旅にカメラを持っていくと、いろんなものに目を向けながら街を歩くため、2倍も3倍もその街を楽しむことができる。たくさん写真を撮って、たくさん現地の文化に触れて、たくさんご当地グルメをぜひ堪能してもらいたい。

旅先にはいろんな被写体に溢れていて、広角で風景や街並みを広く表現したい時や遠くのものを大きく望遠で切り取りたいシーンなど、いろんな焦点距離が必要になる。M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3は1本で広角から超望遠までカバーできるため、旅に欠かせないレンズになりそうだ。

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