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OM SYSTEMで動画撮影にチャレンジ!
~第二回~

木村 琢磨

撮影・解説 : 写真家 木村 琢磨

木村 琢磨オフィシャルサイト

2022年11月公開

カメラアイコン記事内で使用した
レンズをご紹介

本記事は” 第二回”となります。
“第一回”では、動画のしくみについての内容となっております。
ご覧になっていない方は、“第一回”をお読みの上、本記事をご覧いただくとより理解が深まります。
OM SYSTEMで動画撮影にチャレンジ!~第一回 はこちらから

フレームレートとシャッター速度の関係性

動画の滑らかさを大きく左右するフレームレート。
数字が多いほど滑らかになり、少ないほどシネマチックな映像表現になります。

動画を撮影する前にまずはこのフレームレートを設定する必要があります。
滑らかな映像なのか、シネマチックな映像なのか、この最初の選択が映像表現を大きく左右します。個人的にはフレームレートが低いほどよりムービー感が、フレームレートが高くなるほど写真的な映像になるように思います。
迷った場合はひとまず30fps(コマ/秒)で問題ないでしょう。私の場合はシネマチックな映像が好きなこともあり24fpsでの収録が多いです。今回は私の好きな24fpsをベースにして作例を収録しています。

写真撮影の場合は、被写体の動きを流すのか止めるのかでシャッター速度を決めていきますが、動画撮影の場合はフレームレートに適したシャッター速度を選択する必要があります。

簡単に言うと、動画撮影時は「1/フレームレート×2 秒」がシャッター速度のセオリーと言われています。
つまり24fpsの場合は1/48秒となり、30fpsの場合は1/60秒60fpsの場合は1/125秒がフレームレートに適したシャッター速度となります。

シャッター速度適正の場合

被写体ぶれが起きることでよりスムーズな動きに見える。

シャッター速度が速い場合

被写体ぶれが起きないことで動きが固くなり、ぎこちない感じとなる。動画からの切り出しを狙う場合はシャッタースピードを優先することも多い。

フレームレートが少ないほどスローシャッターになるので被写体ブレが目立つわけですが、フレームレートが低い場合にシャッター速度が早すぎるとカクついてしまい動きがぎこちなくなってしまいます。
なので、あえて少し”ぶらし”を加える事で滑らかな動きに見せているわけです。
アニメなどでもこのブレの表現は取り入れられており、それが躍動感などに繋がっています。
動画から後で切り出したい場合などはシャッター速度が早くないと被写体ぶれが発生してしまうためフレームレートの高い60fps、または動画の滑らかさは諦めてシャッター速度を高速に設定しましょう。

フレームレートに対しての適切なシャッター速度はあくまで基本と言うだけであり、崩してしまうのももちろんOKです。あえて高速シャッターで撮影するのも良いですし、ちょっとした誤差の範囲であればそこまで大きく映像に影響は出ません。
屋内での撮影では照明の影響もありシャッタースピードが重要になってくるのですが、ここではネイチャーシーンにスポットをあててという事で、また別の機会にお話しできればと思います。

シャッター速度を調節するならNDフィルターを使おう

フレームレートに合わせてシャッター速度を決めることが重要と言うのを解説しました。そこで気になった方もいるかもしれませんが、動画の場合はシャッター速度優先なのです。つまりシャッター速度は固定でISO感度と、絞りF値で露出を決めていきます。
となると、24fpsで撮影している場合、シャッタースピードは1/48秒という事は日中の屋外ではかなりオーバーな露出になってしまいますね。
一般的に、晴天時の露出は「シャッター速度 1/”ISO感度”秒、絞り値 F8.0」であるため、ISO感度200で撮影した場合は「1/200秒、F8.0」の露出となります。
となると、シャッタースピードを1/48秒にするためには

F値を16まで2段絞るのが最も話が早いですね。

絞り値F16での撮影

ISO 200、1/48秒の条件で適正露出を狙う場合は絞り値を2段絞ったF16がちょうどベストだった。
強烈なパンフォーカスではあるが、絞り込みすぎて回折現象が発生しているため解像度を生かしたい場合はF5.6〜8.0あたりまでに抑えよう。

しかし、もっと被写界深度の浅い映像を撮りたいとなるとどうすれば良いでしょうか?
ここでスチル撮影でもお馴染みのNDフィルターの出番です。

日中スローシャッターの必需品であるNDフィルター。

まず、シャッター速度を1/48秒に下げたい場合は-2EV必要です。
NDフィルターにはいくつか濃度があり
ND2=−1EV、ND4=−2EV、ND8=−3EV、ND16=−4EV、ND32=−5EVとNDの数値が倍になる毎に−1EV減光されます。

ND効果を当てはめると以下のようになります。
ND未使用:ISO 200、1/200秒、F8.0
ND2使用:ISO 200、1/100秒、F8.0
ND4使用:ISO 200、1/48秒、F8.0
ND8使用:ISO 200、1/25秒、F8.0
ND16使用:ISO 200、1/13秒、F8.0
ND32使用:ISO 200、1/6秒、F8.0

上記のようにISO 200、F8.0の条件の場合、シャッター速度を1/200秒→1/48秒まで下げるにはND4が必要となります。

NDフィルターありの場合

NDフィルター(ND4)を装着することで日中屋外でもISO 200、1/48秒の条件でもF8.0で撮影できた。

NDフィルターなしの場合

NDフィルターなしでISO 200、1/48秒の条件で、F8.0で撮影すると強烈なハイキーに。動画を撮影する場合はNDフィルターも持っていたい。

これで24fps、ISO200、F8.0で撮影する時の適切なシャッター速度を得ることが出来ました。
ではもっと絞りF値を小さくしてボケを楽しみたいとなると…さらに濃度の高いNDが必要となってきますね。
F4.0に設定した場合はどのような数値になるか見てみましょう。

ND未使用:ISO 200、1/800秒、F4.0
ND2使用:ISO 200、1/400秒、F4.0
ND4使用:ISO 200、1/200秒、F4.0
ND8使用:ISO 200、1/100秒、F4.0
ND16使用:ISO 200、1/48秒、F4.0
ND32使用:ISO 200、1/25秒、F4.0

ISO 200でF4.0にしてシャッター速度を1/48秒で撮影する場合は、ND16が適正となります。

NDフィルターありの場合

NDフィルター(ND16)を装着することで日中屋外でもISO 200、1/48秒の条件でもF 4.0で撮影できた。

絞りF値を小さくすることが出来ました。絞り値F1.2のPRO単焦点レンズなどで撮影する場合は、さらに濃度の高いNDフィルターが必要となってきますし、撮影環境が変わるたびに必要なNDフィルターの濃度が変わってきます。従って、複数枚のNDを揃えておくか、バリアブルNDという濃度の調整が可能なNDフィルターもあるので一枚持っていても損はありません。

バリアブルNDを使用した場合

バリアブルND(濃度可変式)を使うことで、1枚で複数の濃度を調整することが可能となる。シームレスにND効果を変えることができるので輝度差の変化が大きなシーンでも活躍してくれる。

この様に明るいシーンではNDフィルターが必要となりますが、日陰や暗いシーンではISO感度を上げたり、絞りF値を小さくして光量を稼ぐので、環境が暗くなるほどNDフィルターは不要となります。
ネイチャーシーンであれば森や山の中に入ると晴天時の露出よりも暗くなるためNDフィルターの必要性も減っていきます。

フレームレートを決定したら次はいよいよ撮影してみよう

今回は撮影前の重要な設定であるフレームレートとシャッター速度の関係性について解説しましたが、シャッター速度が必ずしもこの条件でなければいけないということはありません。◉RECボタンを押せば気軽に動画撮影をすることができますので、今回のフレームレートとシャッター速度の関係性については、より動画のクオリティを高めるための条件の一つと思ってください。

次回「第三回」ではいよいよ実際の撮影についての解説となります。
OM SYSTEMのカメラの良いところは手ぶれ補正が強力なこと。
手持ちで感じたままに写真感覚で動画を撮影していきます。

まずは撮影に入る前に自分のカメラでフレームレートの設定を行なってみてください。
実際にシャッタースピードを色々試してみてどのような変化があるのか、どのようなシーンでNDフィルターが必要と感じるのかなど、ご自身で体験することで感覚が掴めると思います。
次回の解説もお楽しみに!

木村 琢磨

木村 琢磨(きむら たくま)

はち株式会社代表。岡山県在住のフォト&ビデオグラファー。 広告写真スタジオに12年勤務したのち独立。主に広告写真(風景・料理・建築・ポートレート など)を撮影。ロング一脚をはじめ、アクションカムや全天球カメラを使った特殊撮影やドローンを使った空撮も手がける。ライフワーク・作家活動として岡山を拠点に全国の風景を撮影。イベントやカメラメーカー主催のセミナーで講師としての登壇も多数。インプレス社より書籍「風景写真の7ピース」「図解で分かる名所の撮り方」出版。
木村 琢磨オフィシャルサイト

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