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OM SYSTEMで撮る富山の風景写真 ~冬編~

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撮影・解説 : _____mimosa.619_____

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2023年1月公開

カメラアイコン記事内で使用した
カメラとレンズをご紹介

はじめに

私が住んでいる富山では、雪の降る日が多くなり、すっかり冬らしくなりました。今回は、この季節ならではの富山の冬の風景とともに、撮影のポイントを紹介していきます。

立山連峰

富山の冬の風景の中でも、冠雪した立山連峰は圧巻です。空気の澄んだ冬場の晴れた日には、街中や遠く離れた海沿いからも立山連峰が見られます。今回紹介する立山連峰の写真はすべて、山からかなり離れた場所から撮影しています。
撮影のポイントとしては、望遠レンズの圧縮効果を利用して、迫力ある風景に仕上げることです。望遠レンズで撮影すると、実際はかなり距離が離れている被写体が、手前の被写体と大きく近づいて見えます。これが圧縮効果と呼ばれるものです。被写体同士の距離が近い場合や、撮影する人と被写体の距離が近すぎる場合は、あまりその効果は感じられませんが、被写体同士の距離が離れていて、手前の被写体に比較的大きなもの、遠くの被写体にも大きなものを狙うと、実際の大小関係や距離感が崩れ、面白い写真に仕上がります。望遠であるほど、背景がボケやすくなるので、奥の被写体もくっきり写したい場合は、しっかり絞りを絞って撮影しましょう。

1. 立山連峰 x 路面電車

どちらも富山市内で撮影した、立山連峰と路面電車です。 (※歩道から撮影) 富山市の街中を、立山連峰を背景に路面電車が街を走る風景は、どこか外国のようにも見えます。富山市内の路面電車は、近未来的なものからレトロなものまで、様々な車両が走っているので、次にどの車両が来るのか、待っている時間も楽しみのひとつです。

1枚目のように人や車が入ると、日常感が出ますが、奥の立山連峰の非日常感との対比が楽しい場所です。

カメラ:OM-D E-M1 Mark II
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
200mm相当※ Mモード F8.0 1/800秒 ISO 200 ±0.0EV

2枚目は、路面電車と立山連峰を正面から撮影したものです。手前の道路のゼブラ帯が面白かったので、それをバランスよく配置しました。

カメラ:OM-D E-M1X
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
300mm相当※ Mモード F6.3 1/1000秒 ISO 200 ±0.0EV

先ほど説明したとおり、2枚とも、望遠レンズの圧縮効果で、手前の路面電車と立山連峰がすぐそばにあるように見えますが、実際は30㎞以上離れています。電車のように動く被写体の場合は、被写体がブレないようシャッタースピードに注意して撮影しましょう。

2. 立山連峰 x 飛行機

続いては、立山連峰と飛行機の風景です。

1枚目は、富山市内の展望台から着陸間際の飛行機を撮影しています。富山空港は、日本で唯一の河川敷に作られた空港で、富山市内を流れる神通川沿いに滑走路があります。川の数㎞手前から撮影していますが、望遠レンズの効果で、飛行機、その少し奥のビルが並ぶ街、さらに奥の立山連峰の距離がグッと近づいて見えます。

カメラ:OM-D E-M1 Mark II
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
240mm相当※ Mモード F8.0 1/1000秒 ISO 200 ±0.0EV/p>

2枚目は、富山市内よりさらに離れた射水市から、飛行機と新湊大橋と立山連峰を撮影しています。被写体3つの距離がとても近いように見えますが、実際は、撮影場所から数㎞先に橋、10㎞以上先に飛行機、50㎞先に山という位置関係です。

カメラ:OM-D E-M1X
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
421mm相当※ Mモード F8.0 1/1000秒 ISO 200 ±0.0EV

3. 立山連峰 x 雨晴海岸

続いては、高岡市にある雨晴海岸で撮影した写真です。ここは、富山の最も有名な撮影スポットと言っても過言ではない場所です。海から3,000m級の山々が見られる地形は、世界でも珍しいと言われています。日本海の荒波を表現するため、シャッタースピードを速く設定し、跳ね上がる水飛沫を止めて撮影しています。どちらも同じ日に撮影した写真ですが、焦点距離が異なる2枚です。

1枚目は焦点距離が150mm(35mm判換算300mm)です。

カメラ:OM-D E-M1X
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
300mm相当※ Mモード F8.0 1/640秒 ISO 200 ±0.0EV

2枚目が40mm(35mm判換算80mm)です。1枚目のように、焦点距離が長いほど圧縮効果が感じられ、奥の被写体が迫ってくるように感じられます。

カメラ:OM-D E-M1X
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
80mm相当※ Mモード F8.0 1/500秒 ISO 200 ±0.0EV

4. 立山連峰 x 鉄道

富山県内には、立山連峰と鉄道を絡めて撮影できるスポットもたくさんあります。

1枚目は、先ほどと同じ雨晴海岸で撮影したものです。海のすぐそばを走る観光列車の「ベル・モンターニュ・エ・メール~べるもんた~」と剣岳を撮影しました。特徴的な線路のカーブでS字構図となり、写真に奥行きが出ます。

カメラ:OM-D E-M1X
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
270mm相当※ Mモード F7.1 1/500秒 ISO 200 ±0.0EV

写真家吉住志穂がM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROで撮影したケイトウ

2枚目は、夕暮れに富山市内の展望台から北陸新幹線と立山連峰を撮影しました。昼間も美しい場所ですが、アーベントロートがより山の美しさを際立ててくれます。また、新幹線と山の間に街並みが入ることで、山までの近いようで遠い不思議な距離感が生まれます。

カメラ:OM-D E-M1 Mark II
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
184mm相当※ Mモード F8.0 1/100秒 ISO 200 ±0.0EV

3枚目は、富山市内から観光列車「一万三千尺物語」と剣岳を撮影しました。ここは、もっと電車に近づいての撮影も可能ですが、望遠レンズの圧縮効果を最大限に活かして山の壮大さを表現するため、あえて後ろに下がり、離れた場所から撮影しています。

カメラ:OM-D E-M1X
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO + MC-20
329mm相当※ Mモード F7.1 1/400秒 ISO 400 ±0.0EV

4枚目は富山市内で撮影した「とやまもよう」ラッピング車両と剣岳です。電車の下の橋脚が主張していたので、降り積もった雪で前ボケを作り、橋脚を隠すように撮影しました。前ボケの効果でどこか幻想的な雰囲気にも見えて、一石二鳥となりました。

カメラ:OM-D E-M1X
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
300mm相当※ Mモード F7.1 1/1000秒 ISO 200, ±0.0EV

5. 立山連峰 x 白鳥

続いては、冬の使者 白鳥と立山連峰です。いずれも富山市内で撮影しました。

1枚目は、一斉に飛び立つ白鳥の群れをファインダー越しに追って、剣岳と重なるタイミングを狙ってシャッターを切りました。こちらも望遠レンズの圧縮効果で、白鳥たちが剣岳のすぐそばを飛んでいるかのように見えます。連写で撮影すると、白鳥たちの翼の向きがそろった一瞬も逃さずに撮影できます。

カメラ:OM-D E-M1 Mark II
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO + MC-14
341mm相当※
Mモード F4.0 1/3200秒 ISO 200 ±0.0EV

2枚目は、水を張った田んぼのそばにいた白鳥と、水面のリフレクションを狙って撮影しました。リアルな立山連峰はあえてフレームに入れず、水面に映ったほうだけを切り取りました。そうすることで、被写体がすっきり目立つ写真となりました。

カメラ:OM-D E-M1X
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO + MC-14
421mm相当※
Mモード F4.0 1/1600秒 ISO 200 ±0.0EV

庄川峡

続いてご紹介するのは、雪の庄川峡です。白銀の世界を静かに進む遊覧船が印象的な場所です。水面のエメラルドグリーンは、青空の日がより一層美しいです。しかし、木々に積もった雪は太陽が出るとすぐに落ちてしまうので、白銀の世界を撮影するのであれば、雪が降った直後のなるべく早い時間帯がオススメです。このように、お天気や時間帯にこだわると、よりイメージに近い風景が撮影できると思います。

1枚目は、奥に2本の赤い橋を入れた定番の撮影スポットから撮ったものです。そのまま撮影してももちろん美しいのですが、自然が創り出した芸術作品のような氷柱に心惹かれて、この氷柱を入れた構図で撮影しました。

カメラ:OM-D E-M1 Mark II
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
24mm相当※
Mモード F4.5 1/3200秒 ISO 200 ±0.0EV

2枚目は少し高いところから、橋の間を進む遊覧船を撮影しました。赤い橋と水面のエメラルドグリーンのコントラストが目を引きます。

カメラ:OM-D E-M1 Mark II
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
42mm相当※
Mモード F7.1 1/1000秒 ISO 200 ±0.0EV

3枚目は、雪が積もった木々の間から覗くように遊覧船を撮影しました。手前の木のおかげで額縁構図となり、中央の遊覧船がより引き立つ写真となりました。

カメラ:OM-D E-M1 Mark II
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
160mm相当※
Mモード F7.1 1/640秒 ISO 200 ±0.0EV

雪の降る景色

続いて紹介するのは、雪の降る景色です。

1枚目は、富岩運河 環水公園で撮影したものです。イルミネーションに雪が舞う様子はとても幻想的です。降っている雪の撮影は、この写真のようにストロボを使用するのが効果的です。夜の撮影は、特にシャッタースピードを遅く設定することが多いですが、そうすると降っている雪は綺麗に写りません。しかし、ストロボを使用すると、ストロボの光が届く範囲にある雪が瞬間的に露光されて、この写真のように写すことができます。メインの被写体と近すぎると、ストロボの光で被写体が不自然に明るくなってしまうことがあるので、被写体との距離には注意して撮影しましょう。また、絞りは開けて撮影するほうが、雪は大きな玉ボケになります。

カメラ:OM-D E-M1X
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
34mm相当※
Mモード F4.0 1/8秒 ISO 200 ±0.0EV

2枚目は、路面電車と雪景色です。この写真はストロボを使用していません。このように街灯が近くにあるような明るい場所では、ストロボを使用せずに撮影しても、降っている雪を写すことが可能です。シャッタースピードを遅く設定すると、雪が線状に流れ、路面電車もブレてしまうので、速めのシャッタースピードに設定しています。また絞りは開放で撮影しており、大小の雪がふんわり舞うような写真となりました。

カメラ:OM-D E-M1X
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
90mm相当※
Mモード F1.2 1/250秒 ISO 500 ±0.0EV

まとめ

いかがでしたか?
撮影のコツをつかむと、寒い季節の撮影も楽しみになってきますね。
これまで、富山の風景と撮影のポイントを、春・夏・秋・冬の4回にわたって紹介してきました。少しでも、皆さんの撮影の参考になれば幸いです。

※35mm判換算焦点距離

@_____mimosa.619_____

_____mimosa.619_____

富山県南砺市出身、富山市在住。フルタイムで働く一児の母。休日に小学生の息子と近くをお散歩しながらの撮影がメイン。4年前に初めてカメラを購入し、同時にInstagramを開始。生まれ育った富山の四季や街並み、花、鉄道、野鳥など、心惹かれるものは何でも撮影し投稿している。身近な被写体も、こんな視点で見ると楽しい!と思えるような切り取りを目指し、日々、アンテナを高く張る。
OM SYSTEMアンバサダー

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