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山岳写真家 平野篤がM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO IIで撮影した九重連山 星生山からの火山風景の写真

山の魅力と、山岳風景を撮るポイント

山岳写真家 平野 篤

撮影・解説 : 山岳写真家 平野 篤

Official Home Page:Atsushi Hirano

2023年8月公開

カメラアイコン記事内で使用した
レンズをご紹介

はじめに

私は山が大好きで日本中の山を歩いています。そしてその山歩きを一層楽しく豊かなものにしてくれるのが「写真を撮る」ことであり、いつもカメラを持って歩いています。山を歩いていると、車で行ける場所では見ることができないような心に響く光景に出会うことがあります。写真を趣味にしている人の中には「山で撮影してみたい」と考えたことがある人もたくさんいると思いますし、登山を趣味にしている人の中にも「カメラで山の写真を残したい」と思っている人がたくさんいると思います。そんな方々の参考になればと思い、私が山で撮影する時(フォトトレッキング)のポイントをお伝えしようと思います。

山での撮影に適したカメラ選び

山での撮影に慣れていない方が最初に悩むのは「どんなカメラを持っていくのか」です。求める性能によっても変わってきますが、必ず頭に入れておいてほしいのは以下の2つです。

  1. 軽量・コンパクト
    車で行ける場所で風景写真を撮る場合はそこまでシビアに考えませんが、山では「重い・かさばる」ということが最大の敵になります。自分の体力にまだ自信がないうちはできるだけ軽量・コンパクトなカメラを選ぶことをおすすめします。レンズを何本も持っていくのも山では困難です。私の場合は標準ズームレンズがほとんどで、撮影したいものに応じて絞りF値の小さい単焦点レンズを1本足したり、望遠レンズを1本足したりしています。三脚についてもできるだけ軽いものを選びますし、OM SYSTEMのような手ぶれ補正に優れたカメラの場合は昼間であれば不要かと思います。
  2. 防塵・防滴
    山の天気は変わりやすい。これは有名な話であり、大袈裟ではなく十年以上登っていても予想外の雨に降られることはあります。安心して山での撮影を楽しむために防塵・防滴性能に優れたカメラを選びましょう。

山での撮影における基本設定

「一眼カメラをやるなら、露出設定は全てマニュアル設定しないとですよね?」とよく聞かれますが、私は「そんなことはありませんよ。最近のカメラのオート機能は優秀なので積極的に使いましょう。」と答えています。山では“はっ”とした瞬間をすかさず撮らないといけないことが多いですし、カメラの設定に追われて歩くことの楽しさを感じられなくては本末転倒だと思うからです。最初はAutoやP(プログラム)モードで楽しく撮っていいと思います。そして更に1歩先の狙った写真を撮りたくなったら、絞りF値の設定に合わせて自動でシャッター速度を合わせてくれるA(絞り優先)モードを使うのがおすすめです。

  1. 花や人物をメインで撮る時
    …絞り(F値)を最小(F2.8等)に ⇒ 背景がぼけることで対象が際立つ
  2. 景色全体を撮る時
    …絞り(F値)をF8.0~F10程度に ⇒ 手前も奥もピントが合って壮大な景色が伝わる

山での撮影において気を付けること

次に、山での撮影において特に気を付けることをいくつかお伝えします。

  1. 安全第一
    山にいると日常生活では出会えない絶景に遭遇することがあります。しかし、山は同時に危険を伴う場所であることを忘れてはいけません。撮影に集中し過ぎて足元を見なかったり、危険な場所に足を踏み入れたりすることは避けましょう。また、もっと素晴らしい景色を撮りたいからと、まだ技術と経験が足りないのに難易度が高い山に登ったり、厳冬期の高山に挑戦したりするのは命に関わります。SNSなどでそういった場所の風景を手軽に見られる時代だけに感覚が麻痺してしまいがちですが、経験者に山の知識を教わったりしながら1歩づつまだ見ぬ景色に近付くことを心掛けてほしいです。
  2. 自然を守る
    山では元々そこに住んでいる動植物が最優先です。撮影に夢中になって足元にある草花を踏み倒したり、動物を刺激したりすることがないよう気を付けましょう。また、今でも山火事が起きることはあり、その原因に焚き火や煙草のポイ捨てがあげられます。貴重な植物が失われたり、多くの人や動物が危険に晒されるため、絶対にやめましょう。それから、登山の基本的なマナーですが、ゴミは必ず持ち帰りましょう。

山で写真を撮ってみよう

阿蘇 烏帽子岳のミヤマキリシマ

熊本県阿蘇の烏帽子岳(1,337m)。この山域では5月下旬~6月上旬にミヤマキリシマというピンク色のツツジが一面に咲き誇ります。山岳写真のおもしろいところは、高度を利用して手前から奥にかけて様々な要素を入れることができることです。

山岳写真家 平野篤がM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO IIで撮影した阿蘇 烏帽子岳のミヤマキリシマの写真

この写真では手前から奥にかけての斜面に広がるピンクの絨毯を主役にしながら、最奥に見える阿蘇独特の外輪山の美しさも入れています。風景全体を捉えるために絞り値をF14に設定しました。

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II
40mm相当*
Aモード F14 1/100秒 ISO 200 -0.3EV

山岳写真家 平野篤がM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO IIで撮影したミヤマキリシマが咲く阿蘇の大地と阿蘇山主峰の写真

こちらはこの日一緒に登った友人を被写体に入れ、ミヤマキリシマが咲く阿蘇の大地と阿蘇山主峰を撮影しています。山岳写真というと堅苦しくなってしまい、できるだけ人が入らないほうがいいと思われることもありますが、私はそんなことはないと思います。人が入ることでスケール感が出たり、ストーリー性が生まれることもあります。それに友達が写っていると思い出深いし楽しいですよね。

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II
24mm相当*
Aモード F11 1/125秒 ISO 200 -0.3EV

竜ヶ岳からの富士山

山梨県の竜ヶ岳(1,485m)。この山は比較的簡単に登れて富士山をとても綺麗に見ることができます。多くの風景写真好きの間で被写体にされる富士山ですが、山の上から撮るとまた違う顔を見せてくれます。

山岳写真家 平野篤がM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO IIで撮影した竜ヶ岳からの富士山の写真

麓に広がる樹海が壮大さを引き立ててくれ、人が入ることで山を歩くことの気持ち良さが伝わる1枚となります。

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II
24mm相当*
Aモード F2.8 1/5000秒 ISO 200 -0.3EV

山岳写真家 平野篤がM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO IIで撮影した竜ヶ岳からの富士山の写真

こちらは樹木を額縁にし、敢えて絞りF値をF2.8に下げてぼかすことで被写体を強調しました。地上から撮った富士山のイメージは「横に長い山」ではないでしょうか。山の上から撮ると、「富士山は高い山なんだな」と改めて気付かされます。また、山には橋やお寺などの人工物や人が植えた桜もありませんが、それがまたいいのです。自然のままの富士山を感じ、撮ることができますよ。

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II
40mm相当*
Aモード F2.8 1/4000秒 ISO 200 -0.3EV

森の木漏れ日

山頂からの壮大な景色は山岳写真の醍醐味ですが、山でのシャッターチャンスは道中にもたくさんあります。

山岳写真家 平野篤がM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO IIで撮影した下山時の森の中夕暮れ時の木漏れ日の写真

この写真は下山時の森の中、夕暮れ時の木漏れ日を撮影したものです。撮影時の設定や現像作業では光と影を意識し、光のあたたかさや森の匂いを感じながらシャッターを切りました。

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II
80mm相当*
Aモード F2.8 1/60秒 ISO 200 -0.3EV

九重連山 星生山からの火山風景

私の出身は九州であり、大分県の九重連山はホームマウンテンです。九重連山はいくつかの山が連なっている山域の総称です。この場所は「星が生まれる山」と書いて星生山(ほっしょうさん)、その名のとおり原初の地球を思わせる風景が広がっている火山地帯です。

山岳写真家 平野篤がM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO IIで撮影した九重連山 星生山からの火山風景の写真

「山の撮影は晴れていないと…」と思うかもしれませんが、一概にそうとも言えません。この日は火山の噴煙と曇り空がかっこいい雰囲気を演出してくれました。

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II
34mm相当*
Aモード F13 1/200秒 ISO 200 -0.7EV

山岳写真家 平野篤がM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO IIで撮影した九重連山 星生山からの火山風景の写真

先ほどの写真は高い位置から絞りF値をF13に上げて風景全体を撮影しましたが、こちらは敢えて低い位置からF値をF2.8に下げて手前のミヤマキリシマを前ぼけさせることで奥行きを表現しました。同じ場所でも構図とF値によって違った雰囲気の写真を撮ることができます。

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II
24mm相当*
Aモード F2.8 1/5000秒 ISO 200 -0.7EV

最後に

今回は山の魅力と山で景色を撮るポイントをお伝えしましたが、いかがだったでしょうか。最後にもう一つだけ山で心に響く写真を撮るコツがあります。それは「山を好きになり、山を知ること」です。山を歩いて、山を楽しんで、山を知ると、あそこまで登れば朝日と稜線が綺麗に見える、森の中や足元にも被写体はあるなどということに気付くようになります。
さて、次回はもう少し掘り下げて、山と相性がいいOM SYSTEMとそのレンズの話をしていきますので、お楽しみに。

*35mm判換算焦点距離
一部写真はトリミングしています

山岳写真家 平野 篤

山岳写真家 平野 篤(ひらの あつし)

福岡県出身の山岳写真家。九州を拠点に日本各地の山を歩き、デジタルカメラとフィルムカメラで撮影を手がける。写真展の開催、アウトドアブランドやショップへの写真提供、額装写真の提供、執筆、トークイベントなど多岐に渡り活動。世界各国の風景写真を紹介するPhotography Community『humming magazine』のファウンダー。2022年にフォトエッセイ集「STADE MAGAZINE Issue Two」(STADE MAGAZINE社) 発刊、2023年に写真集「ENCOUNTER ONE」(humming magazine社)発刊。

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Instagram:@atsushi_mt.photo

カメラアイコン記事内で使用した
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