OM-D E-M1Xで撮る昆虫写真

OM-Dマイクロフォーサーズシステムは撮影者に今まで不可能だった撮影を可能にしてくれた。プロキャプチャーは、昆虫の飛翔写真を誰にでも身近にしてくれたし、深度合成は昆虫の微少な構造の再現を可能にした。E-M1Xで加わった手持ちハイレゾは、チョウの鱗粉をも詳細に描写する。なお、E-M1Xは、カメラグランプリ2019で「あなたが選ぶベストカメラ賞」を見事に受賞した。さらに、新発売の2xテレコンバーターMC-20を望遠レンズに併用すれば、敏感で近寄りがたい被写体をマクロレンズ並の解像感で写し止めてくれる。このシステムのおかげで、ぼくはずいぶんと得をしているのだと思う。(写真家 海野和男)

マイクロフォーサーズシステムが昆虫写真家にもたらしたメリットは非常に大きい。
昆虫を撮るのにこれ以上のシステムはないと断言できる。OM-D E-M1 Mark IIに搭載されたプロキャプチャーモードは飛び回るチョウの一瞬のはばたきを切り取る。深度合成は細部までピントが合わなかった小さな昆虫をクリアーに描写してくれる。プロキャプチャーモードも深度合成も日々進化し、その最新バージョンを全て搭載したOM-D E-M1Xが発売になった。E-M1Xでは手持ちハイレゾ撮影が可能になり、50Mセンサー相当の高解像写真を生成し、チョウの鱗粉まで細密に描写できるようになった。新登場のM.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20をM.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROやED 40-150mm F2.8 PROと組み合わせればマクロレンズ並の写真が被写体を驚かせずに撮ることができる。OM-Dはこれからも進化を続けていくに違いない。

E-M1 Mark IIが昆虫写真に与えてくれたメリット

E-M1 Mark IIにM.ZUIKO DIGITALシリーズのレンズを使うことで、昆虫写真は以前と比べればずっと身近なものになった。小型軽量のED 60mm F2.8 Macro、ED 300mm F4.0 IS PROやED 40-150mm F2.8 PRO、ED 12-100mm F4.0 IS PRO、ED 8mm F1.8 Fisheye PROをメインに使っている。昆虫写真は近接撮影なので、被写界深度が浅いことが問題となる。4/3型Live MOSセンサーのマイクロフォーサーズが、昆虫写真に最適な理由の一つがこの撮像素子の大きさだ。フルサイズに比べ2絞りは稼げるので、シャッターが速く切れる。
加えて、ぼくがこのカメラに惚れ込んでいるのはプロキャプチャーモードがあるからだ。従来、チョウの飛翔の一瞬を切り取るのはかなり難しかった。ぼくでも1日に1枚撮れれば上出来という時代が嘘のようだ。秒間60コマ*1で撮影できる電子シャッターを使ったプロキャプチャーモードを使えば、誰でもがチョウの飛翔写真を撮ることができる。

絶滅危惧種のヤマキチョウに出会った。タンポポの花から飛びたつところをプロキャプチャー連写Hで撮影。シャッター速度は1/4000秒、200mm相当(35mm判換算)で撮影。
中型のチョウは1/3200秒でも大体とまる。細部までシャープに撮るには1/4000秒。この日はよく晴れていたので絞りは開放でISO500での撮影ができた。

これを使わない手は無い。プロキャプチャーモードを使ってもうまく飛翔写真を撮れないという方は設定を今一度確認しよう。プログラムオートで撮ってはいないだろうか。
ぼくの設定を特別に公開しよう。チョウは案外速く飛ぶ。確実にとめるにはシャッター速度は大型のチョウで1/2000秒以上、中型のチョウで1/3200秒、小型のシジミチョウやセセリチョウでは1/4000秒のシャッター速度が必要になる。ISOオートでシャッター優先かマニュアルで撮る。絞りは、基本開放だ。人間はものを見てからシャッターを押すまでにタイムラグがある。ぼくの場合はだいたい0.2秒だ。良いと思ってシャッターを押しても、そこにはもうチョウはいない。撮りたい瞬間を撮るにはプロキャプチャーモードはなくてはならない。そこでプロキャプチャー連写Hを使い、シャッター半押しから全押しまでの30コマ*2を保存する設定にしている。レンズはED 12-100mm F4.0 IS PROが最も使いやすい。近寄れないチョウはED 300mm F4.0 IS PROやED 40-150mm F2.8 PROを使う。これらのレンズはテレコンバーターも使えるのは嬉しい。
強力な防塵・防滴構造だから、砂地や地面にカメラを置いて撮っても安心だ。

アメリカの美しいアゲハチョウの仲間、トラフタイマイをプロキャプチャー連写Hで撮影。
開放で1/4000秒。あまり明るくなく、ISOは3200になったが、それほどノイズは感じない。150mm相当(35mm判換算)で撮影。

もう一つ、カメラ内で深度合成ができることも素晴らしい。これも昆虫写真家には今や必須のテクニックだ。昆虫は小さいので、絞っても全体にピントの合った写真は撮れない。このモードはカメラがピントをずらして複数枚撮影し、極めて短時間にカメラ内でピントの合った部分だけを合成してくれる。ぼくは主に白バックでカマキリが翅を広げて怒っている写真を撮っている。0.5秒ほどで撮影が完了するので、その間カマキリが動かなければよい。「世界のカマキリ観察図鑑」という本に載せた白バック写真は、深度合成を使ったものだ。深度合成にはED 60mm F2.8 Macro カマキリの大きさだと手ぶれ補正のよく効くED 12-100mm F4.0 IS PROを使う。基本手持ちだ。

  • E-M1 Mark II + ED 12-100mm F4.0 IS PRO
  • 焦点距離:200mm相当(35mm判換算)
  • 絞り値:F5.6
  • シャッター速度:1/80
  • ISO感度:200
  • 自然光での撮影、深度合成写真はF5.6に絞った方がうまく撮れることが多い。
  • E-M1 Mark II + ED 12-100mm F4.0 IS PRO
  • 焦点距離:140mm相当(35mm判換算)
  • 絞り値:F5.6
  • シャッター速度:1/640
  • ISO感度:200
  • 明るいLEDライトを2灯使用。

※文中の焦点距離表記は35mm判換算です。

  • *1:連写時のピントと露出は連写1コマ目に固定されます。静音連写HモードのS-AFもしくはMF、シャッター速度1/250秒時において。ISO8000以上で撮影する場合は連写速度が遅くなります。
  • *2:最大35コマ