星、生き物、水。OM-D E-M1 Mark IIIで撮る日本とアラスカ

最新機能満載のMark IIIで星空撮影

近年のカメラ技術の進歩は目まぐるしく、ついていくのがやっとというのが正直なところなのですが、“星空AF”と言われれば流石に理解できます。星は被写体として暗いのでAFがきかないのですが、この機能を使うと星空にもAFが作動しピントが合う、ということ。そう、E-M1 Mark IIIにはこの”星空AF”の機能が付いているのです。
はじめて聞いたときに思ったことは、「1メートルを超えるような大判のプリントにも耐えるような精緻な性能なのだろうか」ということでした。「この機能が本当なら星空撮影会のときに教えることなくなっちゃうな。」ともこっそり思いましたが、それは私の問題。さて今回、日本の北アルプスと、-30度の極寒のアラスカの山脈内において星空AFを使用しましたが、その結果には驚かされました。いくつか写真を見ていただこうと思います。ちなみに、よくある「どこを押せばその機能が発揮されるかわからない」ということはありません。あちこちいじらなくても、AFモードの中から選択してAEL/AFLボタンを押すだけで簡単に使うことができます。

室堂で撮影した星空。シャッター速度が20秒と少し長いため、星が動いていますがピントは正確。三脚に据えたときの星空AF(精度優先)では、AF作動時間は数秒です。

8mmの対角線魚眼レンズで撮りました。星空AFには精度優先と速度優先の二つのモードがあり、精度優先のときにはより高精細にAFが作動し、速度優先のときには手持ちで使うことが想定されています。

アラスカの針葉樹林の中。稜線は風が強かったのですが、森に入ると風が弱くなるためレンズが凍りにくくなり、撮影しやすくなりました。シャッター速度は15秒ですが、星空AFを速度優先にし、地面に寝転がって手持ちで撮影しました。

アラスカの星空。三脚につけ、星空AFとハイレゾショットの機能を同時に使用。-30度の中、厚手のグローブから手を出してカメラを触る時間はできるだけ短くしないと危険なのですが、星空AFを使えばその時間を極端に短くできます。三脚ハイレゾショットの設定なので8000万画素の高画質で写すことができました。

E-M1 Mark IIIでももちろんライブコンポジットも撮れます。モードダイヤルのBモードからLIVECOMPという表記を選びます。撮影を開始すると、徐々に動いていく星の軌跡がモニター上に見てとることができます。ライブコンポジットのワクワクする瞬間です。ぜひモニターを見ながら撮影してみてください。ライブコンポジットを終えたいときには、シャッターボタンを押せば終了です。最初のシャッターから、1時間撮れば1時間分、地球が自転した分だけ星の軌跡を写すことができます。ライブコンポジットの撮影可能時間は最長6時間になりました。

私自身は、星景写真を主たる目的にして撮影することは実は少ないのですが、この機能のおかげで星空撮影をより楽しめるようになりました。星空AFには速度優先モードもあり、手持ちでも星空にフォーカスを合わせることができます。フォーカスが合ったとしても、手持ちでは手ブレするのでは?と思われると思いますが、E-M1 Mark IIIの最大7段分の手ぶれ補正を活かせば、シャッター速度が長秒でも手持ちで星空が撮れてしまう、というわけです。シャッター速度が数秒以上となるとさすがにブレやすくなってきますが、少しトレーニングすれば大丈夫。上の3枚目の写真は、手持ちで撮っています。シャッター速度は15秒でした。
今まで星の撮影をされる際にピント合わせにて苦戦されていた方にとっては、構図や露出合わせに割ける時間がグッと増え、星空撮影の楽しみ方をさらに広げてくれる機能なのです。