ダイナミックな鳥の姿を捉える!
OM-D E-M1 Mark II 野鳥撮影レポート

「フラッグシップ」の名に相応しい機能・性能を備え、OM-Dシリーズのトップモデルとして登場した「OM-D E-M1 Mark II」。野鳥撮影において重要なポイントとなるAF性能と連写性能が従来機OM-D E-M1より大幅にアップしました。飛んでいる野鳥の撮影に重点を置き、その実力と使いこなしのポイントをレポートします。

1.動体追従能力を高めたC-AFで野鳥をキャッチ

OM-D E-M1を超えるプロフェッショナル仕様のデジタル一眼カメラとして開発されたOM-D E-M1 Mark IIの最大の特徴は「高速性能」。新開発のLive MOSセンサーにより信号の読み出し速度が向上し、画像処理エンジンの処理速度もアップ。このことにより、AF(オートフォーカス)を働かせながら、最高約18コマ/秒(静音撮影/電子シャッター使用時)という驚異的な連写速度を実現している。

また、撮像素子と画像処理エンジンの一新は、AF性能のアップに大きく寄与している。121点オールクロスの像面位相差センサーは、画面の縦方向の75%、横方向の80%をカバー。被写体が画面のどこにあっても、121点のAFセンサーでカバーできる。全点クロス測距にすることで測距精度が上がり、主要被写体と背景を判別する能力が向上。これにより、動体に対する予測精度も良くなっている。これは、OM-D E-M1 Mark IIのC-AF(コンティニュアスAF)で動く被写体を撮影すれば、すぐに実感できることだ。

移動する被写体にピントを合わせ続けるC-AFを使いこなす上で、大切なのが「AFターゲットモード」の選択。OM-D E-M1 Mark IIには4つのモードがあるが、C-AF時には「9点グループターゲット」と「オールターゲット」が有効。「9点グループターゲット」は、選択した9点のAFセンサーのいずれかが主要被写体をキャッチすれば、ピントを合わせてくれるもの。動きが規則的で、画面の同じ位置に捉え続けることができる野鳥を撮るときに使用する。一方、「オールターゲット」は、121点のAFセンサーすべてを使い、面で被写体をキャッチするモード。上空を飛び回るタカやワシ、カモメなどの撮影に効果的だ。

OM-D E-M1 Mark IIとコンビを組むM.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO。M.ZUIKO DIGITAL 1.4x Teleconverter MC-14を付けた状態で使用した。電子ビューファインダー(EVF)の性能が高く、被写体を追いやすくなったが、超望遠レンズで飛んでいる鳥を撮るときは、ドットサイト照準器 EE-1があると快適。

画面の縦方向の75%、横方向の80%をカバーする121点オールクロスの像面位相差センサーが、被写体を確実に捉える。

オールターゲット

空を縦横無尽に飛び回る野鳥を撮るときは、「AFターゲットモード」の「オールターゲット」が効果的。上空から水中の獲物を探すオオアジサシをC-AFで連写したが、AFがよく追従してくれた。

9点グループターゲット

獲物を捕らえたミサゴが、お気に入りの木のある山へ向かっていた。右手から左手へと真っ直ぐ飛んでいるので、「9点グループターゲット」を使用。連写により、クチバシを開き、誇らしげにさえずる姿を撮ることができた。

5点グループターゲット

アオサギが幼鳥を連れて、湖の上を飛んできた。このようなシーンでは、水面にピントが抜けないように、「9点グループターゲット」より測距範囲が絞られた「5点グループターゲット」のほうがよいと判断した。

シングルターゲット

ジッと枝にとまるリュウキュウアカショウビンをS-AF(シングルAF)で撮影。被写体が動かないときは、狙った1点にピントを合わせる「シングルターゲット」がベスト。目にAFターゲットを合わせ、慎重にピントを合わせた。