萩原 史郎の

名もなき片隅の小景 ~夏~

志賀高原の一沼と言えば、写真愛好家なら誰もが知っていると言っても過言ではないほど有名な場所だ。そんな場所で撮影しておいて、「名もなき…」と語るのは少々奇異に聞こえるかもしれないが、視線を向けているのは足元の小さな命である。「一沼」という場所にあり、れっきとした植物名もあるので「名もなき」とは言い過ぎだし、場合によっては主役を張る被写体なので「片隅」という言葉も的外れかもしれない。しかし誤解を恐れずに言えば、やはり一沼など一般的には知名度は低く、志賀高原を訪れる人さえも脇の道路を走り抜け、見向きもしない存在であることのほうが現実だろう。
写真家はそんな命にレンズを向け、讃歌を贈る。

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