萩原 史郎の

名もなき片隅の小景 ~冬~

志賀高原に通い始めて約20年になる。スキー場や宿泊施設の栄枯盛衰の物語は確かにあるにしても、自然風景の移り変わりは緩やかで、その美しさの神髄は何ら変わらない。私だけに限らず、多くの写真家を魅了してきた風景は、今も変わらぬ美しさだ。しかし、多くの目に触れる風景もあれば、一握りの人しか知らない風景もある。今回の作品を撮影した場所がそれだ。私自身は何度も訪れているが、見知らぬ人と一緒になったことは一度もない。志賀高原にあって、しかも有名な撮影地が点在する場所にあってなお無名の撮影地だ。風景写真を楽しむ多くの人が、名所や有名地での撮影を好むことが一因だと思うが、その楽しみ方の一方で、自分だけの撮影地を発見し、そこへ通うことの面白さに気づいてほしいと思う。だから、今回はあえて撮影地は伏せておこうと思う。

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